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海の底で

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海百合が水の流れに揺れ
過去の記憶を歌い出す
耳を傾けると祖母と過ごした思い出が溢れた
数多の光景が優しく廻る

不器用で
我が儘な私は
何も形にできなかった今までを
思い返すのことに耐えきれず
過去を忘れ続けてきた

連続しない点だけの存在になって
不安を感じながら忘れようとして
落ち着かない気持ちで漂っていた

海百合のオルゴール
涙とともに溢れてくる思い出
心が震え温かい感情とともに記憶が甦る

大切な大切な何かが私の心に戻ってくる

不器用で
我が儘で
何も形にできなかったけれど
泣く日も多かったけれど
笑ったり楽しかった日もあって
一生懸命何かに足掻きながら
そんな私は周りに助けられてここまで来たんだね

連続する線の先になって
落ちついて過去を懐かしく思い出しながら
大切な何かを胸に
明日へ向かって泳いでいく





曖昧模糊とした状態で

右往左往する

疲労と緊張で磨り減る

助けを呼ぶ気力さえない

このままだと落ちていく

自分に絡めとられて

どこまでもどこまでも

焦燥、苛立ち、不信、

どこまでもどこまでも

深い深い狭間に

落ちていく墜ちていく

まさに悪循環

嫌だ嫌だ嫌だ

このままでは嫌だ

眠ろう深く

眠ろう疲れを取るために

少しでも自分が取り戻せるように

眠ろう








静かな海面に

一滴の不安が落ちて、広がっていき

やがて全てを飲み込んでしまう

そう、自分自身ですら飲み込んで。

不安とは何なのだ。

心配の隣人のようで

猛獣に近い

思考のようで

心の動き

そう、考えて生まれるものでなく

心が不協和音を感じて生まれているのか

正しい和音が奏でられることが少ないこの世の中で

その不安は何を求めているのか






大きな鯨が、呼吸をし終わって潜ってやってくる
スケールの大きさにどぎまぎする

陸上で緩慢なペンギンも
水中では泳ぎはなんて素早いんだろう

ゆっくり回遊するマンボウに
流れるように群れて泳ぐイワシたち

巻き貝かと思えばひょっこり顔を出すヤドカリさん

竜宮の使いに導かれて
やって来た海のなんと生命の豊かなことか

目まぐるしく命が循環しているこの海の中で
一つしかない命で懸命に生きている

この海に限らず、大地の中も上も、そして空も
数多の生命が多様に生きている

その中の一つの私
やがて季節が廻り循環の輪の中へ入るその時まで
この一つの命を大切にして一所懸命に生きていこう





今日のような
疲れた頭と身体で
失敗もしつつ
それでも何とか乗りきった
1日の終わりに
心と身体のバランスが崩れ
明日への不安も混ざり
自分が嫌で泣きそうになる
私にできるのは
静かに横たわり
目を閉じるだけ
さようなら
漠然とした不安に
別れを告げて






心にもない言葉を口にしてる
慣れて流され過ぎてしまった
言葉に宿る魂が消えてしまう
人に合わせ過ぎて私が消える
良く見られたいという欲望を
安易な方法で満たそうとする
心が汚れて灰色になっていく
求めるものを得れない焦燥と
立場が弱くなる不安を感じて
スケープゴートを探している
私だからなのか人間だからか
感情が在るからか無いからか

良くも悪くもなく
良くも悪くもある

私が今このような心を持っている事実
思考から生み出される心と
感情から生み出される心と
どちらでもない心
全て私の心

灰色になった心が涙している
幸福になれない欲望を手放す
不安が消えて私自身が見える
一つ一つを積み重ねていって
焦らず自分の鼓動に合わせて
緩慢にならずに泳いでいこう
言葉に魂が宿り心が強く輝き
私は君と幸せになるだろう。





心が動かなくなった
静寂の中にいる
怒りも悲しみもない
不安もなく喜びもない
空虚でもない
ただ静かに生きている

これが本来の私の姿ではないだろうか

目には見えるものだけ
耳には聞こえるものだけ
口は必要なことだけ
飾りもなく偽りもない
穏やかに在る






数多の命が降り積もる
私の記録はここで終わる
本当は誰かを照らす輝ける光になりたかった
そういう自分でありたかった
望みながら至らない自分に歯噛みし
不安定な自分が足元を照らすことができるように
綴ってきた私の軌跡の言葉たち
全てが真実で全てが私
自分を認めることのなんと難しいことか
自分が見えて周りがみえる
ようやく分かってきたようなそれでいて足りない
答えがある問題のほうが少ないんだ
ナチュラルに自分であれるように
今日もまた1日を過ごす
最後に願うのは君と皆の幸せ
どうか幸せでありますように




作品名:海の底で 作家名:龍宮紫夜