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海の底で

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白い、命の脱け殻が、無数に降る。降り積もる。

一つ一つの輝ける命は、溶けて、溶けて、やがて空へと昇る。

この手に届く数多の雪たちを、私はそっと抱きしめる。



見上げると、遠く、遠くに、光を乱反射する水面が広がっている。
大気とこの世界の境界。
いつか、あそこまで昇っていけるかしら。
夢のような考えを思い浮かべて、くすりと笑う。
浮水服を着た私はきっと不恰好だろうけど、けれど。
あの光輝く天の向こうには、きっと、きっとね。
煌めく世界があって、笑ったり泣いたりしたりして。
空っぽな私でも、大切だと思う何かを、消えない何かを。
手にすることができるんじゃないかって。
心を遠く、遠くに翔ばしながら。
そして、また、夢ような気持ちを想い浮かべて、くすりと笑う。




君に出会った奇跡
正反対の軌跡を辿って
この地点で重なりあう

私と君はお互いがお互いを映し出す鏡のような存在
私の言葉は君の心で跳ね返り、君の気持ちと一緒に私の心を描き出していく
君の言葉も私の心で跳ね返り、私の気持ちと一緒に君の心を描き出すといいな

深海の底にで息を潜めていた私を見つけ出してくれた君
私のいるところに近付くにつれ、君の硬い装甲が壊れていく
君が近づくにつれ、私から消していた私が顕になる
空虚な心のその奥に、私は何を隠していたのか
君の激しい心のその奥に、隠されていたものは何か

私は泣いていた
寂しくて
私泣いていた
悲しくて
泣いていた
私どこにもいなくて

嬉しい
気づいてくれて
嬉しい
私でいられて
嬉しい
私はここにいるよ

私はそんな私を抱きしめた

いつか私が自分から目をそらさずにいれるように
祈ろう
君が隠している何かを見つけ出せるように
願おう

この時間と空間に支配されている世界で
君に出会えた奇跡に
たくさんの感謝を





乱雑に積み上がった思考
空気が入り込んで、沈めない
散乱する感情と意識
焦燥感とともに積み上げたものは
本来の性質を見失ってガラクタと化す
人間に荒らされた海底のように

不安という渦に飲み込まれたのは何故か
泣きたくなったのは何故か

私に聞いても分からない答え
私を構成するものたちの声に耳を傾ける

思考するもの
技術、思考、能力
未熟さを補うのは、組み立て
時間はファクタの一つ

生きている身体
良い状態をつくるもの
6割睡眠、3割積み重ね、1割感情

そして私
驕り、過信、虚栄
自分の虚像に縛られている

いつでも
答えは身近なところに
そう、私のなかに
近すぎて見えない部分に
あたかも当然な顔をしてそこにある





歪んだルートを通って、素直な気持ちがねじ曲がる

曲がったまま、トップスピードに乗ったと思ったら、急降下

感情って何だろう

空虚な心のときには、ぴくりともに動かなかった感情に

今は支配されている、と見せかけて

疲労した身体が、思考と感情を歪めているに過ぎないのか

美しい自分の感情に触れ、空へ真っ直ぐ飛翔するため

今は身体を休めて、深い海の底で眠る






眠りから浮上する
死にたい、という気持ちが生まれる
少し元気になった証拠だ
次目覚めるときには、
また少し元気になり
この感情を忘れるだろう





なぜか時折涙が滲む
心が脆く崩れ落ちるような感覚に囚われる
身体が震えるような淋しさとともに
私はどうしたのかな
泣きながら
それでもこれも私だから
私は自分を抱きしめる
泣いている私がいつか笑えるように
生きていきたい





白い雪が降り積もる

静かな静かな世界

海底に横たわる私を

静かに静かに隠していく

疲れ果て動けないまま

静かに静かに埋まっていく

消失していく自分を感じながら

静かに静かに瞼を閉じる

やがて至る一人の世界で

静かに静かに眠り続ける




辛いと思った気持ちを
素直に辛いと言えずに

でも聞いてほしくて
一生懸命話した

素直に辛いと言えなかったから
的を得ない言葉が相手の心を上滑りしていた

意図的に伝えられなかった一つの言葉と
代わりに並べられた山のような言葉

私の持っていた本来の気持ちは撹拌され
無意味な言葉に変換され
空気に拡散され消えていった

残されたのは空っぽになってしまった私だけ
空虚な私を作り出してきたのが
他ならぬ自分自身だと知り愕然とする

けれども私が作り出してきたのならば
それが分かったのだから

これまで同じように日々のように見えて
違う日々を積み重ねてきたのだから

勇気を出そう
遠くない未来の日々
私は素直な気持ちを口にできる
それがまた新しい私のはじまりになる




素直な気持ちを言葉する
言葉にすれば人に伝わる
人に伝われば影響を与える

私の気持ちを口にした
その言葉は君を苦しめるのではないかと
その言葉で君が心を閉ざすのではないかと
恐れていた
私は君が離れていくの恐れていた

でも隠したまま言わなければ
私は心を歪め
君を責めるだろうから

私は気持ちを夢を口にした

私のそのささやかな夢を叶えるためには
君は自身から隠していたの何かと向き合わなければならない

君は表情を固くして
君は辛そうにして
それでも私の気持ちを受けとめた

君は避けなかった
君は反発しなかった
幾分青白い顔で頷いた

伝えることができたことで十分だった
君が私の心を受けとめてくれたことで十二分だった

君が自身から隠してきた何かと向き合うときには
君が自身のために向き合わないといけない
だから私の夢はここで叶わずに終わる

私の夢は君に伝えることができたから
叶えられなくても昇華され私に還元するのだろう

私を受けとめてくれた君の優しい心に
有り難う

雨降りの日の水面の無数の水紋のように
お互いに干渉し影響を与え合いながら生きている





とてもとても楽しい日の翌日

疲れた身体を休めるためにとてもとてもよく寝たら

それはそれは恐ろしいほど落ち込んで

色々なことができていない自分に

不安になって焦り、不甲斐なくて悔し泣きし

さらにそんな自分の駄目さに泣き、

それでも少し片付けをしたりして少しだけ浮上したりして

そんな1日を過ごす

毎日、疲れていて、考えられないことを

疲れが少し取れると、頭が考えるのかな

落ち込んでいるときは苦しいけど

元気になったり、上向きになるための通過点なのかなって

そんなふうに感じるんだ






私という命を感じながら眠る




作品名:海の底で 作家名:龍宮紫夜