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紡ぎ詩Ⅱ(stock)~MEGUMI AZUMA~

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 色々と豊富はあるけれど まずは平穏でありますようにと

 願いつつ

 おろしたての真っ白な紙にたっぷりと墨を含ませた筆を入れるときのような心持ちで

 新しい年を始めたい


☆ 『凜花、ひと雫~汚れを知らぬまま艶めくその花に』

 新しい年が近付くにつれて

 周囲を取り巻く空気が次第に澄み渡ってゆく

 そんな心持ちを感じたことはないだろうか

 清冽な真冬の大気を纏って

 凛として開く花

 一見真っ白なように見えるけれど

 実はわずかに紅が混じっている

 漆黒の闇夜を彩る純白の雪のように

 寒走った薄青い空をよぎる雲のように

 汚れを知らぬ真白(ましろ)な花の花片に

 ぽとりと落とされた紅い雫が

 無垢な少女が放つそこはかとなき色香のように

 はんなりとした艶を添えている

 ほんのわずかに散った微かな紅が

 深紅ひと色に染まった大輪の花よりも

 なおいっそう艶めいて見えるのは何故なのか

 涼やかでありながら艶めく花を見つめる

 私自身のこころもゆっくりと洗われてゆく

 まだ開かぬ無数の蕾に来たる年に待つ

 たくさんの希望を重ね合わせながら

 静かな心持ちで迎える、2015年の末


☆『雨ときどき曇り、そして私はまた歩き出す』

 人生とは、つくづく摩訶不思議なものだと思わずにはいられない。そんなことが実はしゅっちゅう、ある。例えば、とあるサイトで毎日のように挑戦する双六ゲーム。今週はいつになく調子が良くて、良い目がどんどん出て進んだ。この分では初の100位以内に入るかと思いきや、後半戦から調子はがた落ちで、結局ゴールできずじまいで終わった。裏腹に、前半は良い目が出なくて殆どコマが進まない状態でも、後半から巻き返してぎりぎりでゴールできることもある。人生は双六のようなものだなと、私が思うのは、こんなときだ。
 人間の一生には様々な出来事がある。平々凡々とした私のような人間でもそれなりに山あり谷ありの毎日で、これまで歩いてきた道を振り返れば、それなりに色々とあった。もちろん、嬉しいことも哀しいことも取り混ぜてだ。
 少し前、日記代わりのブログには、こんなことを書いた。
―今年1年を振り返った時、小さな後悔はたくさんあるけれど、大きな後悔は一つもない。そのことが良かったと思う。
 考えてみれば、これまで私が歩いてきた道程もそんなようなものだと思う。
 それでも、人生という道、晴れる日よりは雨の日が多いなぁと弱気になってしまう。
 だが、雨の日には、道ばたの木の下で雨宿りがてらひと休みして、雨が止んだらまた歩き出せば良いかなと気楽に考える。
 晴れ間まで望めなくても、雨が止めばまた歩き出せるのだから。


☆ 『手探りの未来』

 色々あって

 もう駄目だと諦めかけた矢先

 急に前方に光が射してきて、眼の前の風景が大きく拓けたこともあった
 
 過去 現在 そして未来

 誰でも未来への道は続いていると信じているけれど
 
 そんなことはない
 
「今日という日が人生最後の日だと思いなさい、そうすれば、驚くような新しい発見があるでしょう」

 そう言った人は誰だったか

 明日という日が迎えられることを素直に感謝して

 今日という1日を終えられた日は、とても幸せだと思う

 うまくいきかけて

 これはいけると期待満々でいたら

 あと少しのことで出遅れたり手が届かなかったこともあった

 見通しの立たない、はるか向こうの目的地

 未来は常に混沌としていて 一寸先ですら闇に閉ざされていることもある

 それでも手探りで歩いてゆく

 その中にまた光が射すこともあるかもしれない

 闇の中をおぼつかない足取りでゆっくりと進む私の傍を

 別の誰かがまたゆっくりと追い越してゆく

「どこまで行くのですか」

「【夢】という最終目的地まで」

「奇遇ですね。私も同じ場所を目指しているところです」

「では、私はひと足先に行きます。あなたも頑張っていらっしゃい」

「ありがとう。あなたも気をつけて」

 私を追い越した人の背中は見る間に遠ざかって見えなくなった

 ふと気がついてみれば 遠くに儚く小さく瞬く灯りが揺れている

 さっきの人はあの灯りを目指したに違いない

 よし 私も負けずに進もう

 気のせいかどうか知らないが 闇が少し薄くなったような気がした

 誰もが夢という遠くにある灯りを求めて長い道を歩いている

 私もそんな大勢の挑戦者の中の一人にすぎない

 これからも私は私の速さで手探りで歩く

 その先にあるものは何なのだろう― 


☆ 『花一輪、女の一生』

 凍てついた清澄な大気に凜として佇む白椿

 その潔さとの優しさに微笑みたくなる

 厳しさと優しさを併せ持つのは椿の中でも白椿だけかもしれない

 ふと視線をめぐらせてみる

 我が家には様々な種類の椿があるが

 一つとして同じ色のものはない

 紅 白 ピンク 斑入りの白

 艶めく妙齢の娘のような紅色

 汚れなき乙女を彷彿とさせる真白
 
 あどけない童女のようなピンク

 そして雪のような純白でありながら、ほんの少しの紅が混じった白

 中でもいっとう好きなのは紅入りの白椿だ

 何故なのだろう 

 私は椿を見ると、女性を連想してしまう

 その色や形である年代の、どういう風な女性かをイメージして花の姿に重ねる

 私の好きな紅入り白椿はさしずめ少女から大人になりかけている微妙な年頃だろうか

 潔癖さを示す純白にほんの少し

 傍で見なければ判らないほど僅かに紅が散ったその色は

 天真爛漫な女の子が少しずつ大人への階段を上ってゆく姿に似ている

 いつもは無垢なのに

 時々ハッとするほどの妖艶さがその仕草や表情に混じる

 真冬の凍てつく庭に佇みながら

 私はしばし椿たちを眺める

 それぞれの色をうつろいゆく女の一生の瞬間瞬間に重ねながら


☆『母』

 その存在にどれだけ心暖められることだろう

 その姿にどれだけ励まされることだろう

 連れ合いにも言えないことを言える存在

 どんな哀しみでも受け止めてなお深い優しさと癒やしを与えらる人

 それが母

 私もそんな母親でありたい




☆☆『雨のち曇り、そして私はまた歩き出す』(散文『雨ときどき曇り、そして私はまた歩き出す』同人誌掲載のため改稿)

 人生とは、つくづく摩訶不思議なものだと思わずにはいられない。そんなことが実はしゅっちゅう、ある。例えば、とあるサイトで毎日のように挑戦する双六ゲーム。今週はいつになく調子が良くて、良い目がどんどん出て進んだ。この分では初の百位以内に入るかと思いきや、後半戦から調子はがた落ちで、結局ゴールできずじまいで終わった。裏腹に、前半は良い目が出なくて殆どコマが進まない状態でも、後半から巻き返してぎりぎりでゴールできることもある。人生は双六のようなものだなと、私が思うのは、こんなときだ。