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正常な世界にて

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「それで森村さん。もしこの封筒をポストに入れるのが嫌なら、別の作業をお任せしてもいいんだけど、どうする?」
気を遣うつもりなのか、高山さんはそう言ってきた。まだ心残りがあるぐらいだし、これ以上騒動を続けるわけにもいかなかったので、彼女の申し出を快諾した。
「じゃあ、この人から後で原稿を受け取ってね」
高山さんはさっきから近くにいた男性を指差し、彼に手元の書類を渡した。原稿を使うということは事務だろうか?
「あそこのパソコンを使っての作業だけど、マニュアルは机の引き出しに入ってるから大丈夫だよ」
ワードとエクセルは何度か使ってみたことがあるから、たぶん大丈夫だろう。


 私はデスクトップパソコンの前に座り、電源を入れる。そして、パソコンが立ち上がるまでの間、引き出しに入っていたマニュアルに目に通す。
 手順通りにやれば、高校生の私でもなんとかできそうな作業内容だった。軽く一安心できた私。立ち上がりを確認してから、ワードを起動させた。それからマニュアル通りに、新規作成の手順を進んでいく。
「お願いしまーす」
そこに、先ほどの男性が原稿を持って現れた。
「は、はい」
突然現れたものだから、少し驚いてしまった。彼は二枚の原稿用紙を私に渡すと、すぐに戻っていく。たぶんバレちゃったね……。

 ……あれ? 二枚ある原稿用紙の間に、小さなメモ用紙が挟まっていた。貼りつけたままの付箋でもなく、それには文字が書かれている。
『恋愛以外で大事な話があるから、後で連絡して』
という一文と、LINEのIDが書かれていた……。「恋愛以外」と書かれているけど、嫌な予感しかしない。とはいえ無視はできないので、上着のポケットにメモを隠した。
 周囲に気づかれないレベルで、あの男のほうを見る。私の視線に気づいたらしく、彼は一度チラ見した。しかし、それだけの反応だ。
 すごく気になるけど、今は仕事に集中しかないね。キーボードをカタカタと鳴らす私。原稿の文章を入力するだけの簡単な仕事とはいえ、これ以上恥ずかしい思いはしたくない。

作品名:正常な世界にて 作家名:やまさん