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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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一番上が現れた…。

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週に一回ある、宗教のおばちゃんとの勉強が終わって、キリストに対して気の毒だなぁ~と、キリストを見る度に思った。
キリストは相変わらず優しく微笑んでくれるけど…。
やっぱりあんな風にまで言われたら、なんぼなんでもキリストだって傷付いてしまうと思う。
なのにキリストは、
『大丈夫ですよ。私は全ての人を救いたいので、あんな態度を取られても気にしませんよ。…ただ、私を信じているのかなぁ~とは思いますけどね。』
と優しく微笑んで言うのだ。
その優しさが逆に辛くなる…。

相手の気持ちを考えると辛くなるのだが、だからと言って私に今起こっている状況を信じているかと言えばそうではない。
胡散臭いと思う節もあるので、自分をキリストだと言っている人を疑いの目では見ている。
そして何よりも“神様”がいない。
キリストはいると言ったけど、キリストの後ろを見ても雲の塊しかない。
そこにどう神様を見ろと言うのだろうか…。
何度も何度も見てはいるがその塊しかない。

キリストと会話をしてみたいという気持ちはあるが、ちゃんとしたやり方が分からない。聞こうと思っていなくても、私がふと思ったことにキリストが何か言い分を返すこともあれば、聞いても聞いても答えてくれなかったり、キリストの存在が見えなかったりもする。
いつでも同じ状況ではないようだ。

そして私は神様は何処にいるのか、本当に存在しているのかキリストに心の声で問いかけてみた。
応えてくれるかは分からないけど、やらなければ答えも知れないので、一応聞いてみた。キリストの優しい声が聞こえた。
『神はいますよ。見えませんか?』
と応えてくれた。
私の第三の目(ドラゴンボールで例えると天津飯のおでこにある目)のところに映るのだが、…だんだんとキリストの姿が鮮明になってきた。
鮮明になったとしてもやっぱりだだっ広い雲の絨毯の上に、ポツンとキリストが手を動かしながら立っているだけで、その後ろに雲の塊がグルグルとうごめいているだけで、いつもと変わりはなかった。

『…雲のグルグルがあるだけで、神様じゃないよ。』
と私は問いかけた。
『本当にグルグルだけですか?…もっとよく見てください。何か見えませんか?』
とキリストは言った。
私はそのグルグルに集中した。
何も見えない。
それを見続けたところで何もない…と思っていたら、グルグルと重なって何かが見えた。何だろうこれは…。
誰かが椅子に座ってる…。
まさかこれが…、私が何処にいるのかと探していたあの何かしらでは…。
そんなことが頭を過りながら、そのグルグルは薄れて行き、出て来た何かが濃ゆく見えてきた。
“あらまぁ~!!これ…神様?!”
とたまげたら、
『はい、その方は神ですよ。神はいましたね。会えて良かったですね。』
とキリストの声が届いた。
私はどうしようどうしようとあたふたし始めた。
キリストに会った時もあたふたしたけど、神様はもっとあたふたしてしまう。
チラッと見るとやっぱりいる。
第三の目で見るような形になるので、斜め上を見るようになる。
斜め上からドンッと椅子に座った何かがこっちを見ているので、圧が半端ない。
なので自然と私の姿勢は少し縮んでしまい、またその姿勢のまま家の中を歩き回り始めた。
どうしようどうしよ…。
チラッと見ては何かがいる…。
私は閃いた!!
助けが必要…と…。
“お母さんに電話しよっ!!”

呼び出し音がたった数回鳴っただけなのに、“急いで~!!”と私は焦った。
『お母さん、お母さん、お母さん。』
と私は慌てて連呼した。
『はい、何?』
とお母さんは安定している。
『上、上。…出た…。上が出た…。』
私の言葉にお母さんは一瞬考え、
『はっ?!上?!』
と返された。
『そうそう、上。出たよ…。』
と言うとお母さんは勘付いたようで、
『えっえっえっ…。上ってまさか…神様?!』
と声が上ずった。
私は電話越しのまま大きく何度も肯いた。
お母さんからの返事がないので、自分が声を出してないことに気付いた。
『そうそう。たぶんそう。』
と私も声が上ずった。
『えーーーっ!!どうしようどうしよう。』
とお母さんがテンパりだした。
私もチラ見しては何かがいるので、家の中を歩きながらテンパッていた。
テンパるお母さんが急に立ち止まったかの如く、
『それ、本当に神様なの?』
と聞いてきた。
『分からない。聞いてないから。でもキリストに、“その方は神ですよ。会えて良かったですね。”って言われたよ。…もしかして偽物…。』
と私が言うと、お母さんは、
『えーーーっ!!キリストがそう言ったの?!キリストが“その方は神だ”って言ったのーーーっ?!』
と驚いているようだった。
お母さんの言葉にキリストは、
『はい、その方は神ですよ、お母さん。』
と口を開いた。
そのことをお母さんに伝えると、
『いやーーーっ、やっぱりあなたが見えてるの神様よ!!間違いないわ!!』
と根拠もなくそう断定しやがった。

だからと言って何が出来るわけでもなく、やっぱりテンパり家の中を歩き回っていた。
お母さんが、
『ちょっとその見えてる人に、神様か聞いてみて。』
と言った。
“あっ、そうだ!!その方法があった!!”
と私もピンと来た。
恐る恐る心の声で、
『神様ですか?』
と聞いてみた。
『………。』
と無反応…。
『お母さん、心の声で聞いてみたけど、無視…。こっちを見てはいるけど、微動だにしない。無視。』
と私は言った。
すると、お母さんからの返事よりもキリストの方が早く口を開いた。
『その方は神ですよ。』
と言うばかりだった。
そのことをお母さんに伝えると、
『キリストが応えて、見えてる何かは応えないかぁ~。分かんないね…。聞いたこともないし…。』
とお母さんは困っている。
頼みの綱のお母さんが困っては私はどうもこうも出来ない。
お母さんが何か思ったようで、
『顔…、顔はどんな顔してる?!』
と聞いてきた。
『顔?!…顔ね~…。』
私は出来る限りその何かに集中してみた。
『顔は、年寄りの顔っぽい。男の人と思う。…で、アジアっぽくはないと思う…。でも目はちゃんと見えない。全体的にぼやけてて、鮮明ではない。このくらいかな。』
と私は答えた。
『年寄りかぁ~。でもアジアっぽくないってところがいいね。他に服装とか髪型とか分からない?!』
とまた聞くから、また集中した。
『ん~…、椅子に座ってるから後ろ姿は見えない。髪の毛までは見えないけど、服は…あっ、キリストと違う!!このおじいさん一枚布!!つま先まであるワンピースなのかは分からないけど、そんな感じ…。』
と答えると、
『へ~、一枚布~!!』
とお母さんは驚いていた。
『宗教の本にある挿絵と同じような服だよー。そうそう、考えてみたら挿絵の服に似てる。』
私がそう言うと、
『はいはいはい、あんな感じね。…勉強で、“人は神と同じ形に造られた”って習ったけど、服まで一緒とは…。』
とお母さんは一人、勝手に納得していた。
『そう言えば、キリストってどんな顔してるの?』
とお母さんは唐突にそう聞いてきた。
『はっ?!キリスト?!…キリストはね~、トム・クルーズに似てる。』
と私が答えると、お母さんはそれを聞いて、