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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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影ふむ鬼子は隣のだれか1 神末一族番外編

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朝のホームルームで、変質者についての情報が担任から伝えられた。

「なんか変な噂があるみたいだが、面白がっている者は気を引き締めろよ」

時計男、という都市伝説を面白がっている生徒への戒めも忘れない。なるべく大人数で帰ること、部活動は終了時間を早め、午後五時半には完全下校時刻とすること。それを伝えた後、担任は授業に入った。

(時計男ねえ)

窓の外は眩しい緑が広がっている。夏の終わりの、最後の熱を放つ空の青が美しかった。
ふと視線を感じてその先を追うと、右斜め後ろの矢野七星と視線が合った。
慌てて視線を逸らした七星は、よほど慌てたのかペンケースを落とし、中身をぶちまける。

「矢あ野お~、」
「ナナセ何してんの、ほら手伝うから」
「す、すみません。ありがと樹里ちゃん」

教室中が和やかな笑いに包まれていても、紫暮だけは笑えない。

――少しは歩み寄る努力も必要だぞ

瑞に昨夜言われた言葉が蘇る。矢野七星の思いのこもっているであろう手紙は、結局開封しないまま机の中にしまってある。

(どうしろってんだ)

好き。付き合ってほしい。友だちやクラスメイトとは違う存在になりたい。

それは平たく言えば、自分のものになれと、そう言っているのと同じではないのか。

(俺は矢野と同じ気持ちにはなれない。矢野が欲しくて欲しくてたまらなくて、他の誰にも渡したくない存在でもない限り)

ここでもうすれ違っている。これでどう歩み寄れって?わからない。それとも、そこまで深刻に考えなくてもいいのか?ちょっとかわいいから付き合うか、くらいの思いでいればいい?

(・・・そんなことをしたら、あの手紙にこめられた思いも裏切ることになるんじゃないのか?)

だから、自分にはどうすることもできない。
それを責められても、やはり理不尽だと紫暮は感じるのだった。