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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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影ふむ鬼子は隣のだれか1 神末一族番外編

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遭遇



朝練が始まる弓道場は、昨日の不審者の噂でもちきりだった。胴着に着替えて射場に行くところで、紫暮は友人に声をかけられる。

「はよー紫暮。昨日部長から電話きた?」
「きたよ。なんだっけ、時間聞いてくるとかって」

時計男だよ、とそばにいた女子部員が会話に入ってくる。

「時計男?」
「都市伝説っていうか、有名なんだよ」

弓の弦をはりながら、紫暮はその噂話を聞く。半ばくだらないと思いながら。話を聞きつけてか、他の部員が集まってくる。ネットで有名になった噂のようだった。

「時計男はね、真っ黒なコートを着て、英国紳士みたいな帽子を被ってるの」
「そーそー。でね、真っ黒なコートの下は・・・時計だらけなんだよね」

時計だらけ?

「腕には勿論、首にも、ボタンにも、ベルトにも、いーーっぱい腕時計をぶらさげてるの」
「その時計はどれも止まっててね?なのに時計男が近づいてくると、秒針を刻む無数の音がしてくるの!こわーい」

時計だらけの時計男。

「時間きいてくるっていうのは、なんなの。どんな意味があんの」

紫暮が尋ねると、噂好き女子軍団は声を潜めて教えてくれた。

「今何時ですかって聞かれても、絶対、時間おしえちゃだめ。もし教えちゃったら・・・『それがあなたの死亡時刻です』って言って、隠し持ってた鎌でバッサリ!」

通り魔かよ。

「で、殺した相手の腕時計を奪って、身に着けて夕闇に消えていくの。時計男は、たくさんのひとの死亡時刻を集める怪人なんだよ」

なるほど、それで体中に腕時計を巻きつけているとうわけか。
死亡時刻を集めている、というところが、都市伝説特有の、わけのわからない不気味さを持っている。よくできている話なのだろう。

「誰が考えんのかな、そういうのって」
「あーっ、須丸!信じてないでしょ」
「まったく信じてない」

口裂け女や、人面犬と同じようなものではないか。つまんなーい、と女子が騒いでいるところへ、部長の叱責が跳んでくる。

「無駄口を叩くな。二年から的前に入れ」
「はいっ」

弓と矢を手にすると、部員の空気が変わる。おかしくてちょっと不気味な噂話も、その張り詰めた空気の中に消えていった。