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妖精のブラ

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好奇心旺盛な妖精



妖精の森で一番好奇心旺盛なルルはまたテリトリー外へ出て、人間が立ち寄るかもしれない場所を飛び回っていた。妖精の長に知られたら罰をくらう。でも妖精の森だけで過ごすのには飽きてきていたルルはこっそり脱出しているのだった。目も耳もいいので人間に見つかる筈は無いという自信からだ。原始の森は妖精の森にはない木もあって、黄色くなりかけた葉を眺めたり、木の実を食べてみたりと楽しい時間を過ごしていた。そのルルの目が真っ白いものをとらえた。原始の森の中には無い色である。ルルはすーっと飛んで行ってそのものを観察した。

どうやら人間らしい。ルルは木の陰に隠れて様子をうかがった。人間はぴくりとも動かない。ルルはさらに近寄って見る。話にはきいていたが、見るのは初めてだった。ルルはおそるおそる人間の顔に触れてみた。冷たい。これが死というものかと先生に教わったことを想い出した。ルルの目は胸の白い布に向けられた。その形状が不思議に思えた。ルルはその布を引っ張って見る。それは少し動いてまた元に戻った。ルルが布から伸びている紐をたどり、その紐を肩からずらしてみると胸の布にたるみが出来た。もういちど胸の布を引っ張ってその下の除くと二つの膨らみが現れた。妖精には無いこの膨らみが美しく思えた。

ルルは自分の胸を触ってみる。ここにあの膨らみが……そう想像するとなんだか可笑しく思えた。ルルはその白い布を元の状態に戻し、帰ろうと思ったが、理由はわからないが人間のこの姿を隠してやりたいと思った。ルルは枯れ葉と折り取った木の枝で人間を覆った。ルルは滅多に死者のでない長寿の種族なので弔いというのは見たことがなかったが、祈りは知っていたので祈りの言葉をとなえてからその場所を去った。

作品名:妖精のブラ 作家名:伊達梁川