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白久 華也
白久 華也
novelistID. 32235
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SS珍事件

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おいおい・・・
高価なものではないが、
だからと言って。
そろそろ、店を閉めなくてはならないし、
早く状況を打開しないと・・・。

ベンチに座るよう促すと、やっぱり、また落ちそうになる。
慌てて支えながら、
抱えていたハンドソープをさりげなく取り上げ、
怪我がないかどうか見ていると、

「トイレなんてお借りできないですよね?」
トイレの洗面台使わせたのにトイレ使わせないわけがないと
突っ込みいれてもしょうがないので、どうぞどうぞと行かせた。

その間に、番号案内で、薬を処方したとおぼしきクリニックの
電話番号を調べ、電話してみたが、さすがに夜遅いので
やっていなかった。
対処法を相談できるかと思ったのだが、やっぱり、だめか。
仕方ない。110番した。
「事件ですか事故ですか?」
必ず聞かれるこのフレーズ、この場合、事件というべきなのだろうか。
つっかえながらも状況を説明すると、急行しますと言われた。

トイレから出てきた彼女は布袋から何か取り出した。
液体のコンパクト型の洗濯洗剤だ。
何でそんなものを??
それもどこかから持ってきちゃったものなのかしら?
出したり入れたりしている。

急行と言っても、待つ身は長い。
刺激しないように、成り立たない会話を続ける。
「気分は大丈夫ですか?」
「みんな母が悪いんです」
この人にとって、お母さんや弟さんとの確執が
何らかの形で病気の原因になっているのは
間違いないのだろう・・・
「母がスタンドに行けと言ったので」
子供が成人しても支配しようとする親はたくさんいる。
その関係に足掻いているのか?

「薬、全部飲んじゃったんです」
えええええっ??? 
「そりゃ大変だ」
果たして、どれだけの量を飲んだのかわからないが、
日付からすれば、それまできちんと飲んでいたとして、
1週間分残っていたのを全量飲んだということか?
それだけ飲んだら意識でも失うのではないか?
はったりなのか?
いつも処方された指示通りではなく少なめに飲んでたのを
今日は処方箋どおりの量だけ飲んだという意味なのか?
確認したかったが、全部飲んだと繰り返すばかり。
今のところ意識はあるけど、意味不明な言動に、
ふらつき、距離感の見当がつかない感じ。
やはり、救急車を呼ぼう。
本人を刺激しないように、まずは通りに出て、119番した。
状況を説明しているうちに、自転車のおまわりさんが来た。
そのまま、通りで状況説明。
そうこうしているうち、救急車到着。
パトカーも到着。
レスキューの消防車も到着。

ううう、ちょっと大げさって言うか、
精神的に不安定になっている人、一人相手に、
おまわりさん5人、
救急隊員6,7人が取り囲んでしまったら・・・
私まで、ひるんでしまう。
道行く人は、何事かとこっちを見ている。

救急隊員は簡単に問診と血圧、脈拍測定などして、
異常はないと判断したのか、そのまま帰っていった。
当の彼女は、おまわりさんに交番に連れて行かれた。
医療行為を受けなくて本当に大丈夫なのか?
その後どうなったかの連絡などは一切ない。
何かもっと他に対応のしかたはなかったのか・・・
なんだか中途半端な仕事をした気分だ。

彼女の心の安寧をただ祈る。


作品名:SS珍事件 作家名:白久 華也