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白久 華也
白久 華也
novelistID. 32235
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SS珍事件

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警察も救急隊も困ってしまう




閉店まで1時間を切った夜のこと。
私は、自宅部分で家事をしていた。
店長である夫が一人で店番していた。
私の携帯が鳴り、何事かと店に出た。
店長の傍らには、すらりと背の高い女性。

「困っているみたいなんだけど・・・」
いつもの彼らしくなく、何をどう説明してよいかわからない様子。
私から聞いてみる。
「どうされました? 道に迷われましたか?」

なかなかかわいらしい顔立ちの、ショートカットのその人は、年齢が20代から30代前半くらいといったところか。
ちょっと口ごもり、ややあって答えた。

「電車で来たんです」
「・・・」

駅に出たいのかな? 
疲れちゃって、ぼんやりしてるのかしら?
道案内はこの仕事、日常茶飯事だ。
質問を変えてみた。

「駅に出るのでしたら、何線をお使いですか? どちらまで?」
歩ける距離の駅は一つ。
バスなら、いくつかの駅に出られる。

「・・・かくまってもらってて」
「え?」
「逃げてきたんです」
「え?」
「暴力を振るわれるので・・・友達にかくまってもらってたんです」

えええ~っ?
DVか? 家庭内暴力か?
若干しゃべり方がおかしいから、口の中でも切っているのだろうか?
外から見た限りでは、あざとかなさそうだけれど。
「お…お怪我はありませんか?」
「ええ、怪我してます」

服のすそをまくろうとする。
おいおい、ここで見せるんかい?と思ったが、
手元を見てぎょっとした。
指先が、爪の先がぬらりと赤い。

作品名:SS珍事件 作家名:白久 華也