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悠里17歳

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8 再会



 3月29日、私はお姉ちゃんの計らいで私は実の父親である、倉泉スティーヴン清彦と会えることになった。
 私はお姉ちゃんに道順を教えてもらい、一人ロサンゼルス・ダウンタウンのホテルに向かった。
「悠里も『アメリカ人』なんだから現地の交通で行ってみなさい」
 身重のお姉ちゃんや研究で忙しい篤信兄ちゃんを毎回足代わりにするのも申し訳ないので、言われるがままに一人街に向けてくり出したのはいいけれど、日本みたいに電車が頻繁に走っているわけでもないし、バスにしてもなかなかハードな地区を通ってくれる。おまけに客層と車内の雰囲気もけっこうハードだ、英語が聞こえて来なくて正直怖い。竹刀持ってくりゃ良かった、これは冗談。
 わからないなりにもバス(dash)と地下鉄(metro)を乗り継いでようやくホテルにたどり着いた。アメリカ人はどこへ行くにもマイカーを使うというステファンの言うことがわかるような気がする。渋滞や交通事故に遭うリスクを差し引いても車移動の方が安全と思ったのは私だけだろうか?
 3月のカリフォルニアは日中温かいくらいの気候なのに、目の前で待っている再会に緊張のあまり私の身体は微かに火照っていた――。

   * * *

「ウェスタンホテルLA、ロビーに10時」
 私は手書きのメモを再確認した。ここに間違いない、右腕の時計は9時45分――。ホテルのロビーにある椅子に腰掛けて、周囲を見回した。私の方が先に着いたようだ。ここの交通も思った以上に正確に時間計算が出来る。
 ロビーのソファに腰掛けて、視界に入る往来を眺めると実にさまざまな人種の人間が行き交う。白人や黒人、私のようなアジア系だっている。それぞれが共存し、英語だけでないいろんな言葉が飛び交っている。同級生のサラも、自分のお兄ちゃんも、ここに住む従弟のステファンも口を揃えて
「必ずしも英語が公用語ではない」
という意味がだんだんわかるようになってきた。
 
 待つこと15分、時計のアラームがなると私の目線の先、ホテルの入口扉が開くと、長らく見かけなかった、私と同じ匂いのする人物がこちらを見て立っていた。私に一番近い、そして一番会いたかった人だ。
「お父さん!」
「悠里!」
 私はソファから飛び上がりここが異国であることを忘れて私を迎えに来た父に向かって走り出し、周囲の目を気にせずに真っ直ぐにお父さんの胸に飛び込んだ。眼鏡が胸板に当たってずれても気にならず、お父さんの胸の中でいろんな記憶が甦った。思わず泣きそうになったけど、いきなり泣くとお父さんがオロオロするのを知っているので必死にそれを堪えた。 

作品名:悠里17歳 作家名:八馬八朔