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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章   12話   『歩み寄るヒカリ』

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「前にも話したが、貴様のその力は普通の人間が持てば害を及ぼすとな。魔力を必要以上に多用すれば死に至る。それだけ貴様の宝具は強大な魔力の塊なのだと。それにこの魔力の塊は術者の魂そのものであると言ったのを覚えているか?制御できなければ別人格に身体を支配され、いずれや貴様の魂を奪われてしまうとな。それが先ほど話した『魔力のオーバードライブ』なのだ。貴様の記憶の欠落は別人格に一時的に身体を奪われていたというわけだ」

「…マジか」

俺があのバケモノに致命傷を負わされてから意識失った後、別人格の俺がバケモノを倒したってのか。だが、それならばこいつの話とミナの話に辻褄が合う。こいつもでたらめを言っているわけではなさそうなので信じていいだろう。

そこでヒカリが俺の胸の内を察したのか、ふと微笑む。

「まぁ要するに、膨大な魔力が許容量に収まらず溢れ出し、制御出来ずにただ暴走するということだな」

「それってヤバくないか?制御出来ないんだろ?」

「まぁそうだな。こっちとしてもそれが発動してしまうとちと厄介だ。だが、前にも言った通り貴様はまだ魔法使いとしては未熟だ。まぁ、まだ時間はある。その間に、貴様自身が魔力を自由自在に制御できるようにする必要があるのだ」

「それは、俺に出来るのか?」

「そんなの私が知るか。それは、貴様の頑張り次第だろうが馬鹿者。まぁ出来ないと困るのは貴様自身だ。これも前にも言ったが魔力のリミット解除は命を削るとな。これを発動させないためにも魔法とその力を理解し、使いこなせなければならない。貴様が何もしない限りできるものも出来なくなってしまうのだからな」

「う…確かに」

相変わらずきっついな。まぁ、こいつの言ってることは間違ってないけどな。
俺が自ら行動しなければ何も出来ないんだ。もう俺は知ってしまったからな…いろいろと。
今更、引き返すことも出来ないし、そして、迷ってる暇もない。

「わかった。出来るかわからんがやれるだけやってみるぜ」

「決心がついたようだな。では、貴様にはこれを渡しておく」

そう言うとヒカリは、ポケットから何かを取り出し、それを俺に渡してくる。

「これは…指輪か?」

どこからどう見てもただの玩具の指輪にしか見えない。これを俺にどうしろと?

「それはな、私が作った魔力を抑制する指輪だ。貴様のように莫大な魔力を制御出来ずにオーバードライブを引き起こさないように私の籠めた魔法の制約により制御するものだ。だからコレは付けて絶対外すな。まぁ、一度付ければ私が解呪しないと外せないがな」

「不安は拭えないがまぁ、ありがたく付けさせてもらうよ」

「フフフ、素直でよろしい」

「でもよ、これで魔力の抑制が出来ても、俺自身魔法なんて使ったこともないし、引き出し方も何も知らないんだが??」

それにこの指輪で、俺の中にあるっていうすっげぇ力も抑えられたらただでさえ一般人で魔法の知識皆無の俺が魔法なんぞ使えないんじゃないのか。

「フフフ…それは心配するでない。それは一応貴様に渡しておくだけだ。本命はこっちだ」

そう言うと、ヒカリは、俺に近寄ってくる。…なんだ?

「う~ん…う~ん…届かない」

「…あの、ヒカリさん?あなたは何をしようとお思いで?」

ヒカリは俺に近寄ってくると、まるで木に風船が引っ掛かってしまい届かないのをわかっていても手を伸ばしてしまう症候群にかかってしまったかのように俺に向けて手を伸ばしていた。
時には背伸びをしたり、ぴょんぴょん跳ねたりして頑張っていた。

…これだけを見てればヒカリも何だか可愛く見えるよな。
…この仕草だけだけどな。本性は生意気お子様魔法使いだし。
そんなことを考えていると、ヒカリが息を切らせて、

「…はぁ、おい、ボサっとしてないでちょっと屈め馬鹿者」

…ほらな。やっぱ、小生意気なお子様だ。

「何をするつもりかイマイチわからんが…これでいいか?」

俺は、ヒカリの目線と合うくらいまでしゃがんでやった。

「よし、いいか。そのまま動かないでじっとしてろ」

そう偉そうに俺に命令口調で言うと、ヒカリは俺に胸に手を据える。
…一体、何をするつもりだ?さっぱりわからん。

「…はぁ」

すると、ヒカリは、目を閉じ、精神統一するかのように心を落ち着かせていた。
よく見ると、手に何やら力を集中させているようにも見える。
それに、ヒカリの手も微弱にだが光り始めたしな。
…何だか胸が温かくなってきたような気がする。-そして

「はぁッ!!」

「…うぐ…あぁッ!!」

突然、ヒカリは何を思ったかこの近距離で俺に魔法か何かわからんが光を放った。
俺の身体をヒカリの放った光が全身に駆け抜ける。

「…がはッ!ゴホッ…ゴホッ…ゴホッ」

俺は余りにも息苦しくて、その場に塞ぎこんでしまう。
…何なんだ、一体。

「よし、完了だ」

目の前で俺が苦しんでいるのを尻目にヒカリは、任務完了と言わんばかりに一息ついていた。

「ゴホッ…な、何が完了だ…ゴホッ。ふざけるな…ゴホッ…ちゃんとどういうことか…ゴホッ…説明しろ」

どうにか振り絞ってそれだけを伝えることができた。

「フフフ…簡単なことだ。貴様にフェアリーオーブを直接、身体に注入してやったのさ」

「ん、フェアリーオーブ?」

…またわけわからん単語を使いやがって。ぜってーわざとだ。

「フェアリーオーブ。これは、私が魔力を籠めて作り出した…まぁ、魔力の塊みたいなものだ。貴様の宝具はこの指輪で抑制し、封じてある。これでは魔力を思うように引き出せない。そこで私が新たに器を用意し、そこにフェアリーオーブを注入したわけなのだ。これは、本来、生のないモノに命を吹き込んだり、治療のときに使うものなのだが、これを注入することで身体の傷を癒したり、モノを使い魔のように操ることもできる。だが、禁じられているある方法を使えば特定の人物に魔力を引き出せるようにすることが出来るのだ。それが今、やったこれだ」

「これだって言われても俺にはさっぱりなんだが」

「つまり貴様の場合、特殊な存在なうえに、フォーリアとシェルリアの両方の魔力を持っているというのは話したな」

そんなこと言ったっけ??
理解不能な俺の脳が猛烈な拒否反応を示していたあの日あの時、きっと左から右へと耳から駆け抜けていったのだろう。

眉間にしわを寄せる俺に構わずヒカリは得意げに語る。

「これは、自分の持っている能力の中で一番強い力、そして、その魔力の属性の者が行わなければならないのだ。貴様は、フォーリアの魔力よりシェルリアの魔力がやや高いから一番強い力、そして、属性はシェルリアになるのだ。それが出来るのはフォーリアの魔法使いであるアミーナには当然無理だろう。だから、仕方がなく私がやったっていうわけだ」

やめてくれ。余計に分からなくなった俺の脳がまた拒否反応を。
あぁ、このままだと持病の現実逃避が発動しそうだ。

「…そうなのか。っておい、ちょっと待て。思わず普通に聞いちまっていたが、禁じられてるんだろ?破って大丈夫なのか?」