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宝の地図

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未 御神木



 地図の真ん中ちょっと右にある大きな木の絵。先生もおじいちゃんも口を揃えて『御神木』と言った。
 
移動する車の中で御神木について説明を聞いた。御神木というものは、木そのものが神様の化身で、その位置を動かそうとすると災いが起こるのでそのままにして祀られているものだと二人から教えられた。それは木であったり岩であったりする、それらをひっくるめて『御神体』と言うそうだ。
 区画整理された町の中でも御神体があって、その周りだけはそういった理由で道路の真ん中に「動かせるもんなら動かしてみろ」と言わんばかりに立っているんだとか。
「百聞は一見に如かずだ、見たらわかるよ」
「はーい……」
 私は現在の地図で目的地を見た。この地図にも御神木はあって、道路を隔てて神社がある。

 蝉の騒ぐ森の中、私たちは最初の目的地である乙浜神社についた。先生の案内で、先ずは御神木である大きな杉の木を見ると、さっきまでの説明が一瞬で分かった。
「何これ……」
真っ直ぐの一本道、だけどその真ん中に御神木が一本だけ立っている。その周囲だけ道が木を避けている。それでいてそこを通る車や人は当たり前のように通りすぎるのだ。
「これが御神木ってもんだ」
「すごい。切っちゃうと良くない事が起こるんだよね?」
「そうじゃ。道があって木があるんじゃない、その逆じゃな」
 百年以上前からここにいる御神木、確かにこの木は神であり、町の人も木に敬意を払っているように見えた。

作品名:宝の地図 作家名:八馬八朔