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ヤマト航海日誌

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ハヤカワでの新訳はそれを機会にされたものみたいだが、しかしそれってスピルバーグがトム・クルーズで『宇宙戦争』をやった頃じゃん。まるで聞いた覚えがないのは、あれのパチもんとでも思われちゃったのかな? けれどおれに言わせれば、スピルバーグの映画の方が、この『トリポッド』からいろいろパクってウェルズのあれに加えてるんじゃねえかという気もしなくないのだが……。

まあともかく、辻政信のときも思ったもんだけど、こんなものがこんな妙なタイミングで、自分からおれの元に飛び込んできてくれるとはねえ。そんなわけでこの〈山脈〉の紹介を、おれの〈山脈〉越え開始の挨拶に代えることにします。しかし最後まで書けるもんかな……。

さて『トリポッド』全四巻、おそらく入手はまだたやすいことと思う。君の町の図書館にも置いてあるかもしれないと思う。ということでもし読んでみようと思う方がいるならおれから特に『白い山脈(新訳題:トリポッド 2 脱出)』についていくつか。


1.おれが昔に読んで印象に残っていた文に、旅の男が主人公に『人はパンのみで生きるにあらずというが、最初に食べねばならぬのはパンだ』とか語るくだりがあったんだけど、これが新訳では『しかし人はパンのみにて生きるにあらず。まずパンを探さねば』となっていた。旧訳の方が良かったなあ。つーか、新訳は意味が通ってなくねえか?

2.十三歳の少年である主人公はイギリス人で、ドーヴァーを渡ってフランスを歩きユングフラウの山を目指す。〈白い山脈〉とはスイス・アルプスだ。で、途中に異星人に焼かれてしまったパリの廃墟で、弾丸がなくて撃てない銃とおぼしきものを見つける場面がある。訳文から察するに、ここに書かれるのはレジスタンスの銃だと思う。第二次大戦中、イギリスでは自転車用タイヤ空気入れに引き金が付いたような見かけの簡素な銃を大量に造って、フランスその他のナチスに占領された地域の抵抗組織に送り届けた。著者は当時に軍役していたそうなので、そのテの銃を見ているのではないか。

3.〈訳者あとがき〉に、1988年出版の〈エピソードI〉の時代設定は1960年代末か70年代初めだろうなどと書いてあるが、明らかに間違い。1980年代後半の設定なのに疑いはない。作中に出てくる家庭用ビデオデッキやテレビゲーム機が普及したのがその頃だし、何より『小さくてかっこいいスポーツカーのMR-2』なんて文がある。これは当時に売られていたトヨタのクルマで、89年に〈ユーノス・ロードスター〉が出るまで二人乗り小型スポーツの一番人気だった――のだが、しかしイギリスと言えば小型スポーツカーの本場。ロータスやトライアンフやMGに、『サンダーバード』と〈スピットファイア〉の国じゃありませんか。それをいっくら80年代だからって、あんな『太陽の牙 ダグラム』みたいな日本車がかっこいいなどとイギリスの〈中坊〉に言われてしまうとは。チャーチルが知ったら泣くんじゃないですかねえ。


それから後もうひとつ。〈ゴジラ対おっぱい星人〉のログに付記を加えています。よければ戻って読んどいてください。


(付記:ウェブ本棚の〈ブクログ〉にこのシリーズを置いてレヴューも書いてみた。次のURLで見ることができる)

http://booklog.jp/users/shimadanobuyuki



作品名:ヤマト航海日誌 作家名:島田信之