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ヤマト航海日誌

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2015.10.25 野比のび太は古代進の夢を見るか?



『永遠の0』の結末なんて冒頭十分見ればわかる。だってあれって山崎貴が脚本書いてるもう一本の映画まるきりそのままじゃん。

主人公が〈零〉で空母に着艦決めて、「なーにこんなのなんでもないさあ」。あれ見ただけで、ああなるほどこれは〈永遠の0点男〉野比のび太だとわかるんだ。端役キャラが「すげーすげー」と言うなかで、スネ夫とジャイアンみたいなやつが「のび太のくせに生意気だ」。実は〈岡田のび太〉の腕は四次元ポケットの道具のおかげで、その限界が来たときに彼は特攻するしかない。「ドラえむおうううんっ!!!!!!!!」と泣き叫びながら。

そういう話なんでしょ、わかるよ。と、そんな話を投稿の再開以来ここに書いてきたわけだが、しかしもともとあれは原作が悪いんだよな。とは言え誰の心にも、野比のび太はいるもんである。だからぼくも野比のび太。君も野比のび太……みんながみんな野比のび太なんだから、百田尚樹と山崎貴が共に野比のび太であっておかしなことは何もない。

ああ、すべての日本人はみんな黄色いメガネザルなのである。それはイヤだ。なんとかしたい。ドラえもんの道具でもってなんとかして……ちゃいけないのだから、出木杉英才にならねばいけない。

いや、あいつは、あれはあれでイヤだ。なんとかならねえもんなのかな。古代進はいねえのかな。いやいやあんなヤンチャ坊主、どうしようもないけれども、ちょっと成長させてやったらシャキッとするんちゃうんかな。

というわけでやっと『ヤマト』の話である。野比のび太もどうしようもないキャラだけど、古代進もネコ型ロボをヤレヤレと嘆かすような人材であろう。小学三年のおれが見て、こんなやつが主役で戦闘班長で、地球人類の運命を任せ、最後は艦長代理なんてありえねえと思うってのは、やはり造形に失敗してるとしか言いようがない。

それをまんまやっちゃったのが『実写ヤマト』の〈キムタク古代〉。まともな感覚を持っているはたち以上の人間がとても見れない映画になってしまったのも、ひとえにあのキャラクターに問題があると言うべきだろう。

しかしそれも『2199』の〈ぶっちゃん古代〉に比べたら……もともと古代は名前こそ松本零士の弟の名をもらって〈進〉というが、実体が西崎義展の分身なのは出前迅速落書無用というもんだよな。特に『ヤマト2』以降、愛だ愛だと拳を振ってやたらと演説するようになって、おれは見ながら「お前、いいから最終回で死んでくれよ」と思うようになったのだった。

〈ぶっちゃん古代〉はその延長線上にいて、最初から沖田に向かって「ボクの両親と兄を殺したのはガミラスではなく〈戦争そのもの〉です」とかなんとか、自衛隊が協力して制作されるゴジラ映画の主人公みたいなことを言う。で、南部が「冥王星なんか波動砲で吹っ飛ばそう」と言うのに首を振り、


「ダメだ! そんなことしたら、次に何かやるときに自衛隊が協力してくれなくなる!」

「いやでも、地球じゃ毎日毎日、何千万も死んでるんですよ」

「誰がそんなこと気にするんだ! DVDとフィギュアとプラモを買ってくれる人間は死なないから大丈夫だ!」


まあ、こういう考え方で作ったアニメなんだとわかるが……さて、そろそろどうしておれが、ここで『ヤマト』の投稿を始めたのかその動機というか理由というか、そもそものきっかけについて語るときが来たのじゃないかと考えている。おれが『ヤマト』のリメイク小説の着想を得たのが実は、「波動砲で冥王星を」と言う南部を古代が「ダメだ!」と怒鳴りつけた瞬間なのだ。

この「ダメだ」を聞いたとき、おれの中で出渕裕は〈ただのよくいる気持ちの悪い変態に過ぎず、おれにとってどうでもいいやつ〉から〈天に代わって逆さに吊って鼻の穴に小便を死ぬまで注がねばならないやつ〉に変わったと言えるだろうね。

よくも永遠の十九野郎が0点答案出しやがって、てめえなんか古代じゃなくて野比のび太だ! ドラえもんの道具の力で威張るんじゃねえ! お前はしょせん何をしたって出木杉には勝てねえしほんとは決して絶対にしずちゃんと結婚もできねえよ!

『永遠の0』のよく知らないが「お前のおじいさんは実は……」ってのもやっぱそれだろ。
「おじいさんは実はストーカーだったんだ! 本当はしずかおばあちゃんでなく、ジャイ子という女と結婚するはずだった! お前はジャイ子の孫だ!」
「えええーっ!」
という……ああ、いかん。また『ヤマト』から話がそれていこうとしている。

ええとね、おれが言いたいのは、「冥王星を壊してはダメ」なんて言う古代もバカだけど、それ以上にバカなやつがいるという話なんですよ。もちろんいちばんアタマ悪いのは出渕裕なんだけど、おれがここで言いたいのはシュルツだ。ガミラスの冥王星基地司令官ね。

シュルツ。こいつは〈ヤマト〉が木星で波動砲をぶっぱなし、その威力を目の当たりにして恐れ慄き、「地球人はなんという兵器を作り上げたのだ」とかなんとか言いながらも、自分がそれで殺られるという心配をまったくしない。

おかしいだろ。こんなの、ふつうに考えたら、南部が百点満点で、沖田と古代は0点小僧なのである。冥王星など一体何が待ち受けるかわからぬ場所なのだから、〈ヤマト〉に波動砲があるなら一発ドカンで消滅させてサッサと外宇宙に出るのが正しい。旅を一日早めるだけで何千万人も助かるのだから、『日程通り九ヶ月』などと言わずに八ヶ月と二十九日で帰れるのなら迷わずそうしなければいかん。

それだけじゃない。万が一にも〈ヤマト〉が沈めば地球人類がそれで終わりになるうえに自分達だってそこで死ぬのだ。オリジナルのように冥王星に土着生物でもいるなら話も違ってくるかもだが、そうでないなら何千個もあるたかが準惑星のうちタッタ一個など吹き飛ばして構いません。

無謀な独断専行ですべてを危険にさらして気にせぬ沖田と古代など、地球に戻ったあかつきにも英雄と呼ぶなど決してせずに責任を厳しく追及すべきである。トリプルA級戦犯として軍籍剥奪のうえ絞首刑が適当であろう。死体の上に十億人が小便かけるべきであろう。よって『さらば』とか『永遠に』とか、『完結編』とか『西崎がたとえ死んでも終わりはしま編』とかいうような続編はナシだ!

で、シュルツ。当然、〈ヤマト〉の波動砲は基地と自分を冥王星ごと一撃で粉砕させるための兵器と考えなきゃいけないはずだ。そうでしょ。ねえ。違うと思う? 冥王星で使わないなら、他のどこで使うつもりで船に積んだことになるのさ。

地球のオーストラリア大陸は東西四千キロである。波動砲はそれを一撃で消滅させる力があるのをシュルツは見た。でもって今いる冥王星は直径二千三百キロだ。この状況で一体何を根拠にして〈ヤマト〉は撃たぬとシュルツは確信できるんですかね。


「あれはこの星を壊すための兵器なんだ! ただそれだけのためにあるんだ! だってあんなの、それ以外、使い道があるはずがない!」

作品名:ヤマト航海日誌 作家名:島田信之