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つだみつぐ
つだみつぐ
novelistID. 35940
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農薬の話

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 青山氏の発言は北里大学の石川哲氏(文春新書「化学物質過敏症」の著者のひとり)らの研究をふまえている。この石川氏の研究に対して日本農薬工業会は「一研究者の意見に過ぎない」と反発している、とのことである。
 そして平成16年には群馬県で青山氏も加えてMCSと有機リンとの関係について「有機リン農薬の一種を分解する能力はMCS患者の方が健常者より低い。これは遺伝子に由来する。ただし男女差は見られない。」との研究発表がなされた。その結果群馬県議会は群馬県全域における農薬の空中散布を禁止した。
http://www.pref.gunma.jp/c/02/eikanken/houkoku/tokubetu16-1.pdf

 MCSは「過敏症」である。通常の人にはまったくなんの症状もない極微量の物質に激しく反応する。毒性学の常識にも反する。
 しかし、過敏であること自体が毒物によって中枢神経を冒された結果だとしたらどうなのだろうか。
 あるにおいをかいで突然昔の記憶がよみがえる、という話をよく聞く。嗅覚は脳の原始的な部分と密接につながっているに違いない。そして嗅覚はもともときわめて個人差が大きい(例えば女性は男性よりずっと鋭い、と私は思う)。慢性中毒により嗅覚から脳へ、そして身体症状へというルートができてしまっているとしたら。
 私の個人的な仮説に過ぎない。でもこの仮説はMCSのいろいろな謎をある程度は説明可能だという気がする。MCS患者はなぜ女性が多いのかなど。
 
 MCS患者はこう語る。「私達は炭坑のカナリアなのです。カナリアが倒れたらみんな逃げ出さなければいけないのです。」

作品名:農薬の話 作家名:つだみつぐ