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萌葱色に染まった心 3

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 といって、一枚の紙を差し出した。紙には地図が標されていた。中心に描かれた山とその麓の町が描かれている。だが、どこのことなのか、一切の記載がないので、すぐに場所を特定するのは不可能だった。
 東京に長いこと住んでいた徹にでさえ、地図に標されたところがどこなのか、全く見当がつかない。
 手がかりになるものが他にあればいいのだが、現状ではあまりにも少なすぎる。いや、皆無といっても過言ではない。せめて、なにか手がかりになるものがあればちがうのだが……。
「志穂は知っているのか? この場所がどこなのか」
 徹の問いに、志穂はただ首を横に振るだけ。
「地名とか、近くにある駅の名前くらいは?」
 その問いにも、志穂は首を横に振って答えた。
「全くわからないのか。さすがに手がかりが少なすぎるな。ちょっと骨が折れるかもしれないぜ」
「うん。それは仕方ないかなと思ってる」
「まあいい。乗りかかった船だ。お前を送り届けるまでは力を貸すさ」
「あ、でも、一つだけ……」
 志穂は思い出したように呟くと、慌ててカバンの中を漁り、なかから一つの包みを取り出した。
「これは?」
「この地図と一緒にもらったの中に葉っぱが一枚入ってたんだけど……」
 徹が手渡された葉は、葉柄の基部に一対の托葉があった。広卵形のそれは、長さ十センチほどで、三つに分かれて先は短くとがっていた。また、縁には鋸歯があった。わりと特徴的な葉である。
「私には何の葉か分からなくて……」
「きっと、手がかりのはずなんだ。ヒントもなしに探し出すなんて、出来るわけねぇだろ」
 徹はそう言って、じっと葉っぱを見つめていた。
「どこかで見たことがある気がするんだ」
「本当に?」
「たぶん」
「どこで?」
「うるさいなぁ。それを考えてるんだろう? 少し黙っててくれよ」
「ごめんなさい」
 邪魔をしたことを詫び、志穂は徹が思い出すのをじっと待った。話し掛けるとまた怒られそうだったので、何をしようか考えていると、のどが渇いていることに気づいた。
 そういえば、この船室はわりと暖かかったし、朝から何も飲み物を口にしていない。かといって、志穂はお金を持っていない事を思い出した。どうしようかと考えていると、ジュースくらいはいつでも欲しいときに買えるようにと、徹が千円をくれたのを思い出した。