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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章  6話   『フォーリア国とシェルリア国との紛争』

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「ほぉ、中々いい場所じゃないか。フフ…気に入ったぞ♪」

俺たちは、ヒカリの指定した要望通りに今、屋上にいる。
…まぁ、人の目が少なくて静かな場所って言ったらここくらいしかないしな。
ヒカリはえらくこの場所が気に入ったのか、微笑みながら屋上からの景色を眺めていた。

「それで、俺に話しって一体何だ?」

俺はぶっきらぼうに訊いた。

「あぁ、そうだったな」

すると、ヒカリはくるっと俺の方に向き直ると、不敵な笑みを浮かべこう言った。

「単刀直入に言おう。私と共に来い。そして、私に協力しろ!」

「………はい?何だって?」

妙なことを言いやがる。『共に来い』、『協力しろ』だ?
…ホワイ?ワケワカラン。

「だから、私に協力しろと言ってるのだ」

真っ直ぐな瞳で、俺の顔を超真剣な眼差しで見つめているヒカリ。
…どうやらマジらしいな。

「んで何の協力をするって?」

俺は、取り敢えずワケワカランのでそう訊くことにした。

「フフ…。まぁ、突然、このように言われても貴様には理解できないだろうからな。だから、今から貴様でもよく理解できる実に簡単な説明をしてやろう。感謝するがいい、小僧♪」

どこか含みのある口調と不敵かつムカつく顔【通称:ムカ顔】と化したヒカリのにやけた笑みが俺を見据える。

「それは魅力な提案かつとっても助かるんだが…。ちょっと待てやッ!!いきなりそんなこと突きつけられたら俺でなくとも理解できんわッ!!!そう、俺のようにどんなことにでも屈せず囚われない常識ある思考と脳を持つ『普通』のヤツはなッ!!!!それを何だ、感謝しろだと?!テメェは何様何者だ?!お姫様気取りか!?どこぞの独裁者の再降臨か!?そりゃ物騒だな、おい。それとも何か、ちょっと偉ぶってみたいお年頃か!?さぁ皆の衆、聞くがよいな台詞を振りまきながら、その集まる視線に昂揚感を抑えつつニヤニヤと高みの見物か!?ふざけんじゃねぇッ!!!そんなんじゃいつか皆グレちまうぞ!?それでもいいのか、うん??」

俺はあまりに理不尽な発言に思わず失礼&生意気なこいつにツッコミを入れてやる。

「うるさい!黙れッ!貴様はただ黙って私の話を馬鹿みたいに聞いていればいいんだよッ!口応えするなッ!」

「うぅ…」

ヒカリの冷徹で抉るようなトゲトゲしい声で一瞬にして意気消沈してしまう俺。
何か理不尽かつ横暴だッ!…しかも、よりによってこんな俺よりちっこいヤツに言いくるめられるなんて…。くそッ、ホント腹立たしいヤツだ。

俺は沸々と湧き上がる怒りの念を何とか静めると、ヒカリの話に耳を傾ける。

「まず、貴様に話しておくことがある」

「何をだ?」

「実はな、貴様に話しがあるのは他でもない貴様のあの『力』のことだ」

「俺の…力?」

「そうだ。貴様の力すなわち魔力。貴様が昨日使ったあの力のことだ。しかし、貴様の使ったあの力には、アミーナのような魔法使いの魔力、フォーリアの魔力とは別にもう一つ、フォーリアの魔力とは大きく異なる強大な魔力と破壊力を持つシェルリアの魔力がその身に秘められておるのだ」

「ん?何だって?」

話しの初っ端から妙なことを言い出した。

「まぁ、つまり簡単に言うとだな。この世にはシェルリアとフォーリアという魔法使いがそれぞれいるんだよ。アミーナはフォーリアの魔法使い、私はシェルリアの魔法使いにあたるわけだ」

「…なるほど。それは実に解りやすい。それで?」

話の意味はさっぱりわからんが、ようやくノリ始めてきたこいつに万が一にここで『シェルリア??フォーリア??……それって何??』っと俺が話の腰を折るような真似すれば怒りを買うのは明らかなので、取り敢えず、相槌をしておく。まぁ『フォーリア』と『シェルリア』ってのはいまいちわからんが、これくらいは俺にも理解できるな。

既に体験済みなわけだからな。
フォーリアは優しくて礼儀正しい、シェルリアは怖くて荒々しい。
…うん、実に解りやすい。

「それでな数年前からフォーリアとシェルリアはあることで敵対関係となっておってな。まぁ、実は昔にも一度互いの意見がすれ違い、それが争いへと変わりフォーリアとシェルリアの『大魔法戦争』が起こったのだ」

うーん。話からすると、どうやら『フォーリア』と『シェルリア』ってのはどこかの国のようだな。ってか『戦争』って言葉だけでも物騒なのに、それに『大魔法』も付加されちまったらどうなるんだ??

想像できん。もはや現実からかけ離れたアニメやファンタジーの世界だな。

「何だかすごく物騒な話だな。で、それは結局どうなったんだ?」

「フフ……終わったよ。結局互いのお偉いさんが互いに非を認めて、戦争を終結に導き、そして、その証にフォーリアとシェルリアの友好条約を結んだのだ」

「そうか。でも、何でまた友好関係だったのに敵対したんだ?つーか、そもそも敵対する理由って何だ?」

「簡単なことだ。シェルリアの強大な魔力のせいだよ。シェルリアの強大な魔力に恐れを為したフォーリアの魔法使いたちは私たちシェルリアの人間を捕らえようとしてきたのだ。それが発端となり、あの戦争を引き起こしたのだ。それが終結してからは一時は落ち着いたものの、やはり全てを受け入れる者ばかりではなかったのだ。未だに根強くシェルリアの人間を恐れる者や忌み嫌う者、それに、私たちシェルリアの人間に戦争で殺された者の怒りと憎しみを抱く者だって少なからずいるのだ。もちろんシェルリアにだっている。いくら、フォーリアとシェルリアの友好条約を結んだといっても、形だけで実際は全ては受け入れられなかった。それを治めようとする組織にアセリアというフォーリアとシェルリアを繋ぐ架け橋。フォーリアとシェルリアの両国を守護する国家を創り、両国からそれぞれ代表を、それに軍を募ったのだ。両国を守護するために、二度と戦いが起こらないようにな。そんなアセリアという国家があったのだが、やはり思うように事は運ばなかった…」

一瞬、ヒカリが少し寂しげで、悲しそうな表情をしたような気がした。

「何があった……って聞いてもいいか??」

「フ…。聞かずとも話すつもりだ。……初めはよかった。アセリアという両国を守護する国家創設。これは間違いではなかった。それに、両国の賛成でアセリアはある者たちがその国を統べることになった。それは後に歴史に刻まれることになった大魔法戦争を鎮め、国の英雄として讃えられた7人の戦士たちなのだ」

「…7人の戦士??大魔法戦争を終結に導いた英雄たちのことか。で、そいつらがアセリアっていう国を統括し、フォーリアとシェルリアっていう両国を守護するようになった……そういうことか??」

「そうだ」

何だろう。段々と話が壮大になってきているような……。
ってかこれじゃマジにファンタジーかどっかの物語の域だ。

「かつて、アセリアを統括していたヤツは、まぁ……どこか頼りないヤツだったが、それでも国を思う気持ちは誰よりも強く、それでいて真っ直ぐなヤツだった」

ふっとヒカリに似つかわしい柔らかな笑みを浮かべる。
それもほんの一瞬だった。すぐに険しい表情になってしまう。