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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 パーティの準備は全て終り、兄貴達を除く殆どの全校生徒が集まっていた。
 私は時計を見ると時刻は17時になろうとしていた。
「すみません、失礼します」
 私は生徒達の合間を縫って表へ向かった。
 扉を開けると凍てつく空気が身を包んだ。
 外はすっかり暗くなり、空には星が輝いていた。
 兄貴達はまだ来ない、来る気配も無かった。

 でもいつ間でも扉を開けている訳にはいかない、体育館内はあくまでも石油ストーブが数台あるだけで、開けっ放しにしていると折角の暖い風が逃げてしまう。
 扉を閉じようとした瞬間だった。私の耳に複数の足音が聞こえた。
「やべぇやべぇやべぇ! ギリギリじゃねぇか!」
「空飛べば余裕だったのにぃ!」
「そうも行くか! 規則は規則だ! ちゃんと守れ!」
「ちょっとくれぇ遅れたって怒られるような事じゃねぇだろ?」
「そう言う問題じゃねぇ! オレは舞と約束したんだよ!」
 足音の正体は兄貴達だった。
 兄貴は私と目が合うと大きく手を振った。
「あ、舞〜っ!」
 兄貴達は私の前に立つと大きく肩を上下させて息を切らせた。
「兄さん」
「悪ぃ、結局遅刻しちまったな…… この犬っころが規則規則ってうるせぇから」
「当然だ。セイヴァー・エージェントは任務や非常時以外の部分開放、および変身解除は厳禁だ」
 大神さんは両手を組みながら眉間に皺を寄せた。
 すると背後に里中先生がやって来た。
「貴方達、ご苦労さま、どうにか片付いたみたいね」
「ああ、任務完了だぜ、詳細はサポーターに送った通りだ」
 兄貴が言った。
 すると大神さんが一歩前に踏み出して険しい顔をした。
「しかしまだ問題は残っています、バーンの輸出先やマンバが使っていた戦闘マシンなど…… 明らかに地球に密輸された物です。地球でも大掛かりなマーケットが開かれていると見て間違いはありません」
「そうね……」
 里中先生は顎に親指を当てて考えた。
 今回の異星人犯罪者がどんな組織と繋がっていたのかは分からないけど、そんな物騒な取引が身近で行われているとなると正直不安だった。
 私が考えてもどうしようもない事は分かってる、でもどうしても想像してしまう…… すると兄貴が会話に割って入った。
「今更考えてもどうしようもねぇだろ、オレ達はオメガだって倒した事があるんだし、どんな敵が来ても負けはしねぇよ」
「アンタね、そんな楽観的な…… そのオメガにこっぴどくやられたのどこの誰よ?」
 私は眉間に皺を寄せた。
 すると不破さんが両腕を抑えながら身を震わせて言って来た。
「そんな事よりもう中入ろうよ、寒くて仕方ないよ」
「そうね、マンバの背後関係は探索派に任せるわ…… 今日は仕事の事は忘れて存分に楽しみなさい」
 里中先生はそう言いながら道を開けた。
「おいおい、って言うかオレ様も参加しなきゃ駄目か? パーティとか苦手なの知ってるだろ?」
「駄目だ! 普段学校サボってばっかなんだから、こう言う時くらい参加しろ」
「そ〜だよ、ご馳走いっぱい食べほ〜だい〜!」
 そう言いながら不破さんが三葉さんの背中を押し、大神さんもその後ろから入って行った。
 残った兄貴も一間置くと私に言って来た。
「さて、じゃあオレ達も行こうぜ」
「ええ、入って」
 私は微笑しながら兄貴を招き入れると扉を閉じた。
 
 間も無くしてパーティは始まった。
 館内にいる全ての人達にグラスが行きわたり、壇上に上がった水城先輩がグラスを掲げて開会の言葉を述べた。
「今日は普段の学業を忘れて、存分に楽しんでください、メリー・クリスマス!」
「「「「「メリー・クリスマス!」」」」」
 全校生徒もグラスを掲げた。
 シャンメリーを飲みほした後は各自友達と話したり御馳走を食べたりと自由な時間を楽しんだ。
 本当に皆幸せそうだった。
 皆は知らないだろうけど、この幸せを満喫できるのは人知れずに戦ってくれている人がいたからだった。
 誰も分からないから感謝はしないけど、せめて私だけは兄貴達に感謝した。