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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 舞の様子が変だった。
 突然その場にしゃがみ込むと口に両手を当てた。そして……
「ううっ……」
 舞の瞳から涙が溢れて頬を伝った。
 それを見た瞬間、オレの怒りが爆発した。
「て、てめぇええ――――ッ!」
 オレは両手を強く握ると体中に溜めてあった全てのエネルギーを解き放った。
 途端オレ達の動きを固めていた物が粉々に弾け飛んだ。
『ゲッ!』
「うおらああっ!」
 オレは奴の顔面を殴り飛ばした。
『ギャアアアッ!』
 グラドはかなりの距離を吹っ飛ばされた。
 その隙に振り向いて舞を見る。
「マイ、しっかりしてよ!」
 ファーランが両肩を振って揺するが何の反応も無かった。
「テメェ、よくもっ!」
 ぶっ飛ばしてもオレの怒りは収まらなかった。
 オレはギルを手に取った。
「セイヴァー・ギア、オンっ!」
 ギルから光が放たれるとオレの体にまとわりついて具現化、セイヴァー・ギアが装着された。
 グラドは顔を抑えながら立ち上がりながら言って来た。
『テ、テメェ! 人の顔を何度も殴り飛ばしやがって……』
「うるせぇよ……」
『ヒィイッ?』
 今のオレがどんな顔をしてるか分からない、だけどグラドは怯え出した。
 後ろの方でもファーランとサイモンも顔を引きつらせてるのが分かる。
 オレは背を向けたままファーラン達に向かって叫んだ。
「舞を頼むぜ!」
「あ、うん……」
 ファーランが頷く。
 オレは身構えるとグラドに向かって走り出した。
 間合いを詰めると体を捻って奴の腹部に即刀蹴りを放った。
『ぐがああっ!』
 グラドは体をくの字に曲げながらよろめく。
 さらに強く握った右拳の裏拳を放って奴の顔を殴りつけた。
 独楽のように回転しながら壁に叩きつけられるとオレはすかさずグラドに連続パンチを叩きつけた。
『グ、グオオオオっ!』
 グラドは口を開いてあの液体を吐こうとする。
 だがそんなの二度も通用しなかった。
 オレは左手で奴の下顎をつかんで口を塞ぐと、右手でベルトをつかんで柔道技の肩車の応用で地面に叩きつけた。
『ぶあああッ!』
 グラドは顔を顰める。
 すかさずマウンドポジションになると右手に全エネルギーを集中させた。
「そんなに食いたきゃ食わせてやるよ、オレの拳をなっ!」
 高密度のエネルギーが結集した拳をグラドに向ける。
 グラドは怯えながら首を横に振る、だけどもう遅い!
 オレが拳を振り下ろした瞬間だった。オレの右手首に赤い光の帯が巻き付いた。
「なっ?」
 見るとそこにいたのは千鶴ちゃんだった。
 オレの腕に巻きついているのは千鶴ちゃんの鞭型セイヴァー・アームズだった。
「もう良いでしょう、勘弁してあげなさい」
 千鶴ちゃんは微笑しながら目を閉じる。
 下を見るとグラドは気を失っていた。
「そうだな、この辺にしておくか…… サイモン」
「……ホラよ」
 サイモンもホッとしたような顔でオレのセイヴァー・アームズを拾って放り投げた。
 オレはそれを受け取るとα・モードの刃を奴の腹に突き立てた。
 グラドはたちまちデータ化され、ゼルベリオスに転送された。