ＳＡⅤＩＯＲ・ＡＧＥＮＴⅡ
「おい、今の何だ？」
「攻撃してるつもりなんだろ」
『なっ？』
ゲベールはオレ達を見て目を見開いた。
オレ達は奴等の背後にテレポートして攻撃を交わした。このくらい朝飯前だ。
バクマ星人達はレンの事を知ってたってのに随分お粗末な野郎だ。それとも頭の中まで筋肉で出来てやがんのか？
とにかく兵隊のいなくなったゲベールは顔を顰めた。そのゲベールにオレはセイヴァー・アームズの切っ先を突きたてて尋ねた。
「選ばせてやるよ、円盤の中に案内するか、それともここでぶった切られるか…… どっちが良い？」
『ぐっ……』
ゲベールは歯を軋ませた。
ゲベールの目線は一瞬セイヴァー・アームズからもオレからも反れ、オレの後ろ上空にある円盤を見ると目を吊り上げてオレをにらみつけて叫んだ。
『な、舐めるな！ この若造がぁーーーっ！』
ゲベールはオレに右手を突き出すと、掌から雷撃のような閃光が放たれた。
「ぐっ！」
オレはそこからテレポートして奴の背後に回り込んでセイヴァー・アームズを振るおうとした。
だがこれを読んでいたのか、奴はオレの攻撃より早く右手を握り締めると右腕が大きく肥大化して袖が散り散りに破けとんだ。
そのまま上半身を回して右腕を振るうと俺に裏拳を放った。
だがオレはこれもしゃがんで交わすととっさに横に飛んで交わして間合いを空けた。
レンも今いる場所から走り出してオレの側によって来てセイヴァー・アームズを構えた。
するとゲベールはオレ達に向かって上半身をやや折り曲げて低くうなり始めた。
『ぐぎぎぎぃぃ〜〜〜っ！』
ゲベールの顔が歪み、顔中から脂汗がにじみ出た。
すると右手以外の部分もムキムキと膨れ上がると上着が弾け飛び、下半身もパンパンになるまで膨れ上がると、右側は短いが左側が長い２本の角が額から生えた巨漢になった。
見たところサイキックじゃないようだが、こいつはレンみたいな筋肉組織や細胞を突然変異させるタイプの改造人間みたいだった。
ざっと見てオレ達の２倍はあるだろう……
その巨漢になったゲベールは血に染めたような赤黒い目でオレ達をにらみつけながら言って来た。
『よくも小生に恥をかかせてくれたな、最早手加減無しだ。全力でブチ殺してくれるわ！』
だったら初めからそうしやがれ！
オレどころか誰しもが思うだろう、何しろこっちは時間が無いんだからな。
ゲベールは獣のように吠えると目の前から消えてなくなった。
「なっ？」
オレが目を見開くと、次の瞬間背後に冷たい殺気を感じた。
オレ達が振り向くとそにはゲベールがいた。
そして両腕を振り上げると指を大きく広げてオレ達の顔を握り締めた。
「ぐはぁ！」
「がぁあ！」
オレ達の頭に万力で締め付けられたような痛みが走ると足に力が入らなくなった。
持ち上げられたオレ達は必死で抵抗するがビクともしない、ゲベールはそのまま走り出すとオレ達を地面に叩き付けた。
鈍い痛みがオレの体を走り、一瞬だけ体がの感覚が麻痺して動けなくなった。
さらに奴の手が大きすぎて顔を見る事はできないが、オレ達の耳に奴の声が響いた。
『このまま握りつぶしてくれるわ！』
「……野郎！」
オレは歯を軋ませると蓄えられていた力を解放しようとした。
だがそれよりも早くレンが動いたようだった。
『ぐああっ！？』
ゲベールの悲鳴が聞こえた。
途端オレの顔から手が離れると奴は５〜６メートル後ろに吹き飛ばされ、ゴム鞠のように転がった。
地面にはレンが立っていた。
どうやら瞬時にテレポートして奴の頭にとび蹴りでも食らわせたんだろう、いくら改造しても頭は生物の弱点だ。効かないはずがなかった。
オレも体に力を入れて立ち上がるとレンと同時にセイヴァー・アームズをαモードに切り替えた。
ゲベールは右手で頭を抑えると左手を地面に叩きつけるて立ち上がり、逆上してオレ達に襲い掛かった。
『ガアアアァァーーーッ！！』
もうこうなったらただの獣だ。こんな単細胞が良く出世できたモンだ。
ともかくオレとレンは同時に走ると奴が両手を振り下ろす際に身を低くして交わし、足首を捻って回転すると渾身の力を込めてセイヴァー・アームズの刃を振るった。
『ウギャアアアアーーーーッ！！』
２つの黄金の斬撃が炸裂し、ゲベールは悲鳴を上げた。
ゲベールは次第に金色の光の中に消えていった。
作品名：ＳＡⅤＩＯＲ・ＡＧＥＮＴⅡ 作家名：kazuyuki