小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

星よりも儚い 神末家綺談1

INDEX|6ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 

夜のなか



いつもはチャラチャラしているくせに、瑞は時折ひとが変わったような表情を浮かべることがある。ひとをからかってばかにしているときとは違う。まるで非難するかのような嘲笑を浮かべることがある。そんなときは、いつも間延びしたような口調が、突然老成したものに変わる。いまも、そうだ。

(俺に対して、だけ・・・そういう顔を見せる)

伊吹は、先を行く瑞の背中を見ながら考える。
家族でもない、兄弟でもない、他人に等しいがずっと一緒に暮らしている。長い時間をともにしていても相容れないのは、壁を感じるからだ。

(瑞は・・・たぶん俺を嫌いなんだ)

そんな気がする。さっき自分に向けられたのは、穂積の跡継ぎであることが許せないとでもいいたげな表情だった。

「蛍を見に行くんだよな・・・?」

隣で朋尋が囁いた。好奇心と不安とが交じり合った声だ。普段はクールで度胸もある幼馴染が、夜と瑞の雰囲気にのまれているらしい。

「そのはず・・・だったんだけど」

奥沢は、村のはずれの雑木林の中にある。山からの清流のそばでは、蛍が飛び交う様子を見ることができる。
雑木林には、星の光は届かない。漆黒の闇の中を、瑞はどんどん歩いていく。まるで行き先が見えているように。立ちはだかる木々や草むらをものともせずに。伊吹たちは持参した懐中電灯を使い、瑞の早足についていくのがやっとだった。