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でんでろ3
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novelistID. 23343
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桜咲くころに

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春になった、と実感する夕べ。
 安アパートの1階の角部屋。窓を全開にしていると、春風に乗って、桜の花びらが、今にも、舞い込んで来そうだ。
「この星で1番旨い物を食わせてくれ!」
 その時、1人のホームレス風の男が、そう言いながら、窓から、ガバッと入ってきた。
「なんか、とんでもないもの舞い込んで来ちゃったよー。何だ? お前?」
「ふんっ! 国賓に対して無礼であるぞ」
「国賓? 極貧の間違いじゃねーか?」
「こ・く・ひ・ん! 国賓である。大使である」
「大使? 大使って、どこの?」
「私は、遥か宇宙のマグマ星の大使である」
「マグマ星? つまり、あなたは?」
「そう! マグマ大使」
「ぴろりろり~。ぴろりろり~。マグマ大使~! って、ノッた自分が許せねぇ!」
俺は、思わず立ち上がった。
「だいたい、何で、大使が俺ん家にくるんだよ! 大使館に行けよ!」
「これは、異なことを。玄関に、ちゃんと、大使館の旗印が出ていたではないか」
そう言ってホームレスが指差した先には、俺の白とグレーとネイビーのブリーフが1枚ずつ干されていた。
 やはり、トランクスにするべきだったか? いや、軒先に干すとグーグル・ストリート・ビューに写ったりするし、こういうことが起こらないとも限らないから、皆さん気を付けましょうね。 って、俺は誰に向かってしゃべってるんだ?
「とにかく帰れ!」
「何っ! それが客人をもてなす態度か?」
「だから、もてなす気無ぇって言ってんだよ!」
 俺は、落ち着きを取り戻し、座ると、ポテトチップの袋をゴミ箱に捨てた。
「待てぃ!」
「何だよ。……あぁ、残念でした。残らず食べたよ」
「そうではない。ベルマークを集めろ」
「……ってめぇ! どこの世界に、ベルマーク集める宇宙人がいるって言うんだ?」
「何を怒っている? はっはーん。さては、お前、ロータスクーポン派だな?」
「ロータスクーポンなんて、平成21年に配布終了してるし、やってた頃からいまいちマイナーで、ついでに言うと、今年の9月30日で交換終了なので、ロータスクーポンをお持ちの皆さんは、早めに交換しましょう。って、また、俺は、誰に向かって、話してるんだー!」
「まぁ、落ち着け。素晴らしきものは全て宇宙にもある」
「ベルマークって、全宇宙普遍なのか?」
「まぁ、ゲソマークだったり、ベロマークだったりするが、似たようなもんだ」
「じゃあ、このボールペンもあるのか?」
俺は、手近にあったボールペンを見せた。
「それは、無い。悪しきものだからな」
「ボールペンが、悪しきもの?」
「そうだ。ボールペンは、長時間続けて書いていると、インクボテがペン先に溜まって来て、気を付けていないと、急にそれが、ボテッと付いたり、しばらく使ってないとインクが出なくなって、『インク出ねーかな?』とか思って、紙にグリグリグリーって書くと、紙が切れそうになって……」
「無いって割りに詳しいね、あんた」
ホームレスの動きがぴたりと止まった。
「ゴ、ゴホン。わ、私は、大使であるから、よく勉強しているのだ」
 俺は、少し考えてから言った。
「まぁ、いいや。これ、食わせてやるよ」
春の陽気のせいかも知れなかった。
「ただし、1回こっきり、2度と来るなよ」
ホームレスの目が期待で輝いた。が、私が取り出したものを見ると、
「金ちゃんラーメン?」(実在します)
明らかに落胆した。
「見た目でバカにすんなって、これが地味に旨いんだから」(マジです)

 ラーメンができるまで。食ってる間。いろいろな話をした。
 食べ終わると、今度は玄関から帰って行った。
 彼は、何だったのだろう? 桜が見せた幻だったのだろうか?

 その時、ドアがノックされた。
「野崎智さーん、宅急便でーす」
おっ、故郷からの春の便りかな?
「はーい」
ドアを開けると、先ほどのホームレスが立っていた。
「来ちゃった」
俺はドアを開けると、ホームレスに前蹴りを食らわせ、ドアを閉めた。
 再び、連続して、ドアがノックされる。
「開ーけーてー! 開けてよー! さーとーしー! 開けてー! もうー! いじわるしないでー!」
俺は、カギとチェーンをかけて、ドアノブを全力で内側に引いた。
「今春から、1人暮らしを始める皆さん、表札にフルネームを書くとこのような危険があります。って、また、俺は、誰に向かって、話してるんだろうな?」
俺は大きく息を吸って、ドアに向かって叫んだ。
「この×××、(以下、自主規制)」
作品名:桜咲くころに 作家名:でんでろ3