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ihatov88の徒然日記

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33 間違った刷り込み 9.12


 先日のことなんですが、職場のみんなで食事へいった時のことです。先月も何とか乗り切ったということでこれから年末までがんばりましょうという決起集会を神戸の中華街でしたのです。
 神戸にも横浜ほどではありませんが大きな中華街がありまして、華僑の皆さんがお店を切り盛りしています。世界中にチャイナタウンがあるというのは世界のどこへいっても上手に適応する能力に長けているのだなと思うのです。
 世間一般に「アメリカに住んで、日本人の妻をとり、中国人のコックを雇う」というのが理想の家庭生活だとどこかで聞いたことがあります。それだけ中華料理って世界でも認められているのでしょう。どんな食材でも上手に食べられるように調理するのだからすごいものです。
 世間では何かと中国について冷ややかな反応があるようですが、食材の危険性や政治云々は抜きにしてあの食文化はすばらしいものであると認めるべきではないかと思います。

 さて、本題です。

 中華街だけに右も左もチャイナ風、行き交う言葉も漢字の言葉。店に入ったらうウェイターのあんちゃんも日本語がどこかたどたどしい、たぶん頭の中にあるルビは漢字ばっかりなのでしょう。それはさておき注文をするとこれでもかというくらい盛りの多い料理が次から次へと運ばれてくるのです。そして円卓中央のターンテーブルに乗せられます。
 そこで後輩が一言、
「このターンテーブル(彼はこれを「DJ中華」と言った)、実はメイド・イン・ジャパンらしいですよ」
「へぇ、」
一同感嘆。中華料理のテーブルで見られるこのくるくる回る円盤、実は日本人が考え出したものだそうです。ということは、映画『インディ・ジョーンズ』で見た上海でこのターンテーブルを使って取引をするシーンは厳密には間違いということですか。まあ、映画なのでそんな細かいことは作品がよければ構わないことだと個人的には思うのですが。
 彼の説明によると日本で思いついて、それを見た中華料理の関係者が「これはいい!」とこぞって採用し世界中に広まったそうです。すっかり中華料理店の風景に馴染んじゃってますよね。映画のシーンにも使われるくらいに。

 それから話題に上がったのがチャイナドレスってやつです。そうです、中国人の女性が着るあのドレスです。これについては別の部下が、
「あれも厳密には『中国』ではないらしいですよ」
「えええ、そうだったんですか?」
これにも驚き、おそらく中国人の絵を描かせてみれば女性ならチャイナドレス、男性ならラーメンマンが出てくるでしょう。ラーメンマンはちょっと世代を感じさせますが、逆にチャイナドレスとラーメンマン並べて「中国」が出てこない人なんていないと思うんです。
 そうですか、あれも中国ではないのですか。ではあれは一体?

 それについては彼女が説明をしてくれました。チャイナドレス(マンダリンスタイル)というのは、清朝時代(1636~1912)の礼服で普及していったものなんだそうです。清の皇帝は中国人(漢人)ではなくて満州人なのです。満州人の服装にあるのがあのかっこうなのです。ちなみにラーメンマンのしている辮髪(三つ編みの長い髪)などもそうです。300年近く中国大陸で続いた満州人の王朝文化が馴染んですっかり独自のものになったようです。中国へは行ったことがありますが、行くところへ行けば見ることが出来ますが、そう頻繁に見かけるものではありませんでした。かつての満州のあたりに行けば見られるかもしれませんが。
 
 腹いっぱい中華料理を食べながら思ったことなんですが、大昔の文化から見れば中国が発祥のものって結構あると思います。でもそんな中国でも良いものは自国の文化に取り入れて上手に使っているんだなぁと思ったわけです。今や世界に大きな影響を及ぼしている大国、コピー商品を堂々と作ってみたりといろいろと問題はありますが学ぼうとする姿勢は多分にあるようです、そこは見習うべきかと思いました。この料理にしたって調べたら外国の文化をうまく中華風にアレンジしたものがあるかもしれませんね。

   * * *

 そして決起集会は終盤を向かえます。
「中国人の日本語は発音が似てる」
という話題に。これは彼らが母語にある音を当てるからでどれも似るのです。日本人が英語を話すときカタカナでルビを振ってしまうのと同じなんですね。これはコトバを専攻していたワタクシが答えてやりました。それと、もう一つ。
「これも間違ったイメージなんやけど、中国人は語尾に『アルよ』はつけへんねんで」
「ええ、そうなんですか」
 そうなんです。これも間違いなんです。中国語の文法で考えると『アルよ』をつけるパターンがないからなのです。詳しく説明すると長くなってしまいますのでこれはまた別の機会に……。 
作品名:ihatov88の徒然日記 作家名:八馬八朔