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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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Wish プロローグ4

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俺は、ミナの頭をわしわしと撫でてやった。

「う…うん…えへへ」

ミナは、俺が頭を撫でてやると、嬉しそうに笑って、少しずつ泣き止んでいく。
そして、しばらくすると、ミナの方から口を開いた。

「す…すいませんでした。その…あの…お恥ずかしいとこ見せてしまって」

ミナは、恥ずかしそうに頬を少し赤くして、うつむいていた。

「ハハハ。いいって別に、気にするな。でも、泣き虫なトコとか全然変わってないのな、ついでに身長も」

「あっ!ひどいです~ヒナちゃん、気にしてるのに。これでも成長して大きくなったんですよ~もう!」

「悪い、悪い。でもさ、ホント驚いたよ、まさかミナがこっちに帰ってくるなんて思ってもいなかったからさ」

「あれ…?ヒナちゃん、もしかしてお父様から聞いていませんか?」

「え?親父から?何を?」

「やっぱり…聞いていなかったみたいですね」

ん?
何がなんだかさっぱりわからんぞ。
それ以前に、ここ最近、親父から連絡すらないぞ!

「おかしいですね。昨日の朝に、連絡を入れておいたとそうおっしゃっていましたのに」

昨日の朝に連絡したとな?そんなもんに心当たりは………あっ…。

「あぁぁぁああ~!あれかぁぁあ~!」

俺は思い出していた。
朝イチに電話がかかってきていたことに。

「ヒ…ヒナちゃん?いきなりどうしたんですか?」

ミナは、心配そうに俺の顔を覗きこんできた。

「いや…何でもない…気にするな」

だが、何で明日香のヤツそんな大事なことを俺に教えてくれなかったんだ。
昨日ちゃんと電話に出てたはずなのにな。
…ってマテよ。

教えてくれなかったんじゃなくてそれ自体覚えてなかった…が正しいかもしれんな、この場合。
明日香のヤツ別に興味のないモノだとか理解不能話なんか一瞬で忘れるからな。
きっと親父の言ってることが理解出来なかったんだろう。
そうじゃなきゃ覚えてるはずだからな。

…しっかりしてくれよ、マイシスター。
それと、マイファーザーよ。
俺は目頭を押さえてやれやれと肩をすくませる。

「?」

ミナは、何が何だかわからないようでクエスチョンマークを頭に浮かばせているようだった。

「まぁ、それで、ミナ、何の連絡だったんだ?」

「私がこっちの戻ってくるということと、あと別に大したことはないんですけど、ヒナちゃんのお父様に私の家の鍵をお預けしてありまして」

いや…どっちも大したことはあると思うぞ。

「へぇ、親父が預かってたんだ。そんなこと知らなかったな」

「はい。それでヒナちゃんの家に受け取りに伺うということを伝える連絡だったんです」

親父の奴…そんな大事なことは前もって連絡しろっての。

「そうか。で、親父は他に何か言ってたか??」

「いえ、他には何も。…あ、一つだけ言ってました。なにやら向こうでおじ様が忙しいようなので落ち着いたときにでもまた連絡するとヒナちゃんに言っておくよう言い遣いました」

「やれやれ何が忙しいんだか。どうせまたしょうもないことでも始めたんだろ。まぁ、どっちみちロクなことでないことは確かだな」

実際、俺の親父が何をやってるのか、どんな職業に就いているかも家族であるこの俺自身も全くもって知らない。聞いたこともなかったしな。

まぁ、あの馬鹿親父のことだ。
ミナが言うように、また、唐突に連絡でもよこすだろうさ。昨日みたいにな。
俺はやれやれとため息混じりの弱々しい声で苦笑いを漏らす。

すると、ミナが俺の心情を読み取ったのかクスクスと微笑む。

「フフフ。相変わらずですね、おじ様」

「まったくだ。いい歳して俺と明日香を家に残して海外へ行っちまうんだもんな」

「フフフ。おじ様も二人のことは心配してましたよ。『二人には悪いと思ってる』って言ってましたから」

「悪いと思ってるならそんなことすんじゃねぇっての。全くあの馬鹿親父は」

「でも、そこがおじ様らしいですよね」

「迷惑極まりないらしさ…だけどな」

きっとあの性格はどんなことをしても直らないだろう。
生まれ変わっても無理そうだ。
こめかみのところを押さえ、再び肩をすくめた。

「まぁ、そんなことはいいとして。わかった。じゃ、取りあえず俺の家に行こう。鍵も渡さないといけないしな」

「あの…その前に、この街を少し案内してくれませんか?私のいた頃と変わってしまって困ってたんです」

確かそれでさっきまで迷子だったんだよな。
ミナのことだ…また迷子になるに違いない。
まぁ、ついでだから案内してやろう。

「あぁ、いいぜ。じゃ、商店街でも案内してやるよ」

「はい。お願いします」

そうと決まると俺たちは、公園を後にした。





公園を後にした俺たちは、商店街にやってきていた。

「うわぁ~♪お店がいっぱいですね。昔とは、全然違いますね~。驚きました」

ミナは、俺の後ろに隠れながら、子供のようはしゃいでいた。
ホントに人見知りなんだな、昔もこんなだったっけかな…。
でもまぁ何かこうして見ると、俺だけがミナに心を許されてるんだよな…。

ちょっと優越感~♪
……って、俺は何を言ってるんだ?

「ハハ。また迷子にならんようにな」

「もう、ヒナちゃんったら、そう何回も迷子になんかなりませんよ」

「そうだな。悪い、悪い」

「それに…今は…ヒナちゃんがついていてくれていますし」

ミナの顔が、少し赤くなっていた。

「それは、嬉しいな。男冥利に尽きるってもんだぜ、俺にどんとまかせとけ~!さぁ、ついてこーい~」

「ふふふ」

「どうしたんだ?急に笑い出して」

「あ、すいません。あの…その、ヒナちゃん、昔と変わらないなぁと思いまして」

「ん?そうか?」

「はい。私、昔から友達がいなかったので寂しい毎日を過ごしていました。でも、ヒナちゃんとお友達になってからは毎日が楽しくて、それに私を妹のように可愛がってくれたでしょう」

「そうだったか?俺は、あんまり意識してなかったが…」

でも、ホントは意識しまくりだったと思う…あの時のミナは可愛かったからな。

「それに、いろいろヒナちゃんにされちゃいましたし…ふふふ♪」

「何だか引っかかる言い方だな」

すんごくいやな予感がするんだが…。

「例えばですね…えーと…よく私のスカートをめくっていたこととか」

「やっぱりかあああぁぁああああッ!!!!」

昔、冬姫にもやっていたからな~。
まぁ、子供の時の男なら1回はやるだろ?

「あと、お医者さんごっこで…」

「うわああぁぁあああッ!!ミナこれ以上はどうかやめてくれ、俺が誤解されるッ!!ど…どうかご勘弁をッ!?!?!?」

俺は、思わずがしっとミナに泣きながら縋り付いた。

「あ!ご…ごめんなさい。つい、懐かしくていろいろしゃべってしまいました。あの…その…怒りましたか?」

ミナは、上目遣いで恐る恐る俺を見る。

「いや、怒ってないよ。ただ、何というか、我ながら恥ずかしいことをしていたんだなと思ってさ」
作品名:Wish プロローグ4 作家名:秋月かのん