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ゾディアック 4

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野蛮な騎士よりも、教養や芸術を愛し鑑賞して生きたい・・と。
彼の純粋な心は、彼を取り巻く美しい美術品や 空に煌めく星々よりも
美しく輝き いつまでも絶えることが無かった。
彼の熱く気高い心は 表面だけの腐った貴族社会よりも、この世界の隠された神秘や真理を追及し求めて行き、
やがて裏の世界を知る 秘密結社に入っていった。

「 おまえの光はここにある・・ 器が替わっても、永遠に 」
私はそう言うと、足元に揺らめく 三日月の映った泉から、両手に持った杯に水を汲むと
その水を、片手は泉に 片手は屍の上にかけた・・


気が付くと、セラピーは終わっていた。「 お疲れ様でした。体調は大丈夫ですか? 」
ラムカは眠っていたようで・・ 「 はい・・ とても気持ちが良かったです・・ 」と言った。
施術後に お茶を飲みながら、ラムカはまだボーとしていた。ここに来た時の怯えた感じは消えていた。

「 あ、私 タロッシュを持って来たんです。マリオンさんも引いてみませんか? 」ラムカが言った。
「 タロッシュ? 」私は ラムカと初めて会った時に現れた、トートを思い出した。
確か、音と図形・・と言っていた。
音とは・・ 私達の真実の存在ナディアの事。図形は・・ タロッシュの事。

私はカードを繰って、一枚引いた。
輝く星の下、跪いた1人の女が 両手に杯を持ち、泉と大地に水を注いでいる絵が描かれていた。

「 ⅩⅦ 星。希望の光を表すカードです 」ラムカが言った。

その絵は・・ まるで、先程 ラムカのホットストーンセラピーに現れた ルシフェルの行動にそっくりだった。
ただ 水を注ぐ大地は 屍の身体だったが・・

ルシフェルの声が蘇った
「 おまえの光はここにある・・ 器が替わっても、永遠に 」
タロッシュ17番 星、希望の光



~ 26 ~


いつも同じ夢を見た。

13歳の私は 誰かの背中に摑って 雲の上を飛んでいた。
風になって・・ 
「スーと行くよ」彼は私にそう言った。

青に立ち典る 至高の不可視を行く
どこまでも続く 深く青い空が広がっていた。

これは、私が転生して来た時の 魂の記憶だ
肉体の器に入る時、私は 男だった時も・・ 女だった時も・・ あった。


アイがいつも あなたと共に
あなたがいつも アイと共に


胸の奥から 呼魂する声を聞いているだろうか?
暗い砂漠が広がる・・
吹き荒ぶ砂嵐の中に ただ1人
私は 大きな石の椅子に腰かけていた。


リンガー・・ リンガー・・ リンガー・・
リンガー・・ リンガー・・ リンガー・・

手や足や・・頭や顔も・・身体中が 赤い砂に覆われていく
もうどれ位 ここに座っているのだろう
私は もう一度目を閉じた。
砂塵は舞い上がる、高く雲の彼方へ
遥かな星を越えて 遠く
時の果てより呼びかける。

アイシテル・・  アイシテル・・
私はいつも アイをシテイル


「 音と図形・・ 」
闇の中から鳴り響く声がして 私は目を開けた
砂に覆われた両手には 大きな聖典を拡げていた
膨大な数の象形や数字が
嵐の中の砂塵のように 渦を巻いて舞っていた

足の下には 揺らめく細い月を敷いていた。


私は目を覚ました・・
「 砂漠に座るあの女は 一体誰なんだろう 」

「 マリオンさん、これを見てもらえますか? 」カヨが話しかけて来た。
近頃は私を避けていたのに、カヨの方から声をかけて来るのは珍しかった。
「 彼と一緒に見ていたケランスの本にあった写真なんですけど・・ 」

見ると、白い石像の写真だった。まるで女神島の南海観音のような姿で
頭からベールを被り、両手には書物を拡げて・・椅子に座り、
足には細い三日月を敷いていた。

私は愕然とした・・ 夢で見た砂漠に座る女と同じだ。
「 これ、どうしたの?この女は誰? 」 私はカヨに聞いた。
「 ケランスのガイドブックに載ってた、何処かの教会の女神像だったと思います。
私と彼は、これを見た途端・・不思議な気持ちなりました 」

「 これは、女神像なの? 」
「 はい・・たぶん、マリオンさんにケランスの事を言われて・・ もっと自分に向き合おうと
彼と一緒に ケランスのガイドブックを見てたんです。何か分かる事があるかもしれないと・・
そしたら、これを見つけた途端、私も彼も目が釘付けになりました 」カヨは言った。

「 この女神は 私の夢によく現れる・・ 砂漠に座ってるんだけどね 」私はカヨに話した。
「 この女神はきっと・・ 私と彼の前世にも深く関わりがあると思うんです 」
カヨと彼氏は 前世、信仰で結ばれた絆だった。女神信仰の・・
修道女だった前世の彼氏を見た時 マレーナ・・と叫んでいた。

マグデ・マレーナ・・ 女性性の愛を象徴するが故に 淫らな烙印を押された聖女だ。
全てを受け入れる 受容の愛。
あるがままを受け入れる信仰は、時の権力者にとっては 都合が悪かったろう・・
人間を恐れと依存でコントロール出来なくなる。


その夜、風呂の湯船に浸かっていると・・ 突然、湯煙の中からポウッ・・と
ラムカの前世が ホログラムのように現れた。
お湯に浸かると 肉体的物質次元でありながら 状態次元のナディアに入りやすいようだ。

ラムカは 眩い秘密の部屋から、窓を開け 満天の星空を眺めていた。
オリオン座の下に青く瞬く シリウスを見つめ
「 青いシリウス・・ その輝きに、私の心と魂を捧げよう。喩えこの身が砂になり・・ 喩えこの身が水になり・・
朽ち消え去ろうとも、私の心と魂は永遠に。その真実の聖霊と共に在らん事を・・ 」
純粋で真摯なまでの彼の美しいスピリットは、遥かな星を越えて 遠く
時の果て・・ 天使界まで届いていた。

彼の祈りは・・
大いなる神秘を顕現に記す
聖なる諮詢に魂を導く 真実の守護者、トートの許へ届いた。


「 そうか! だから初めてラムカに逢った時 トートが現れたんだ 」謎が解けた。
前世のラムカの誓い「 喩え この身が消え去ろうとも、心と魂は永遠に。その真実の聖霊と共に在らん事を 」
その約束を果たす為に、「 おまえの状態として光へ・・ 」とルシフェルが 屍になったラムカを導いたのだ!
ラムカがホットストーンに来た時、タロッシュ17番、星のカードを引いた。希望の光  

「 そうだったのか!! 」私は湯船からザバッと上がった。熱った身体が・・ ビリビリ電気を帯びたように振動するのを感じた。
ベットに横になった途端、着信が鳴った。ラムカからだった。
「 マリオンさん!今、誰かが部屋のドアを外からノックする音が聞こえるの!怖い!! 」怯えた声で言った。

「 おまえの・・ 大いなる魂が 出ようとしているのか?それとも入ろうとしているのか? 」私の口が言った。



~ 27 ~


シャロンに向かう途中、信号は全て青だった。
車はノンストップで着いた。
店の軒先に下がる緑色のテントが 風に揺れる
白い石畳とガラス窓には 陽が当たり眩しく輝き、薄暗く中の見えない店内と
対照的なコントラストを醸し出していた。
そこには、光と闇が 同時に存在していた。
作品名:ゾディアック 4 作家名:sakura