Bhikkhugatika
心散乱して走る
心に何人もいる私は、それぞれ別々の方向へと走る。彼らはそれぞれに、自分の思い通りになる他者を求めて駈けずり回っていて、その欲望が叶えられないと、地団太を踏んで怒る。
彼ら何人もの私によって、引き裂かれ、動揺し、憤慨する私。いやはやこれではまるで、この、人々がそれぞれに他者を自分の意に従わせようと駆けずり回っては衝突し悶えている、当世の社会のようではないか。
私は心の中の彼ら何人もの私を、ひとりひとりなだめて、言い聞かせなくては。それは実に君の勝手なこだわりというだけである、君は自ら自らに攻撃を加えて痛めつけているのだ。我らは足並み揃えて、ひとつの道を静かに歩こうではないか、とね。
人間の心をえぐり取る人々がうろつくこの世の中で、生きていかねばならぬのだ。せめて私自身くらいは、自分の心に静寂を与えてあげなくては、とてもやってはいけない。
作品名:Bhikkhugatika 作家名:RamaneyyaAsu