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LEONE

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フリーの殺し屋をやっており、殺しを生業にしているが、それは仕事というよりも趣味であり、特技である。


「わかったー良いよ!何処の人?」
「その前に俺はクラウンの居場所を知りたいんだが」
「えっとー、それは交換条件ってことかな?」
「そうなるな」
「ケイはずるいなぁー!でもその仕事も捨てがたいし、いいよー」

自分の欲求の為なら、例え憧れの人だろうとお得意様だろうと無邪気に裏切るのが殺し屋、ロゼだ。

えーっと、と彼女は指差す。


「あっちの方に行ったから、メロウさんとこじゃないかな」







「暇だ」
「なら帰って仕事でもしたら良いのでは、」
「そんな選択肢はないのよね」

ピアノに飽きたクラウンは、クロスフェアの向いに座り両手で頬杖をついている。
会話も途切れ、この自由奔放な女をどう扱えば良いのか、彼は困惑した。


「ねぇ、何か楽しい話はないの?」

そうリクエストされ、クロスフェアは一瞬目を細めた。
楽しい話という抽象的なものが語り手にとってこの上なく難しいことを彼女はわかって言っている。

「良いのよ特に楽しくなくても。普通に、なんでもね」

クラウンはからかうように不敵に微笑む。


「はぁ。そう言えば、クラウンさんの所のボスは……」
「うん?」
「どういった方なんですか?」
「え、ボス?」
「はい。あまり顔を出さないと聞いていますし、まだ、会ったことがないので」
「そうだっけ?」

不思議そうに尋ねると、はっきりと肯定する答えが返って来た。その速答さに吹き出しそうになるのを抑え込むと、クラウンはくすくすと笑いながら云う。

「会ったことあると思うけど」
「そんなわけありませんよ!」
「あらそう?」

──すっごく面白いことになってきた。







まだ開店前のジャズバーの前に佇むのは、一人の黒服の日本人。

数時間走り回りやっと辿り着いた。普段はあまり来ない場所に、景心は少し落ち着かない様子で中を控えめに覗く。あくまで控えめに、気付かれてしまっては何もかもが台無しだ。

人の気配はあるが、会話はよく聞こえない。しかし、少ししか聞こえなくともクラウンが中にいることは直ぐにわかった。


──さて、行くか。









「何よー、恐いの?まだ会ったこともないのに?」
「そんなことないです!恐くなんか!……少ししか」
「恐いんだ」
「ち、違います」
「クロスってば可愛いのね」
「か、か、可愛いって!」
「若いわねー」
「なっ、クラウンさんいくつですか!……ッッえ?!」
「女性に年齢を聞くなんて……、えって何?」


楽しく話していたのだが、突然止まる。クロスフェアは向かいに座るクラウンの背後を見つめ、音も無く、ゆっくりと忍び寄る影に息を飲んだ。


「クラウっ……」

クロスフェアがやっとのこと声を絞り出した瞬間、全く後ろを見ずにクラウンは無表情で何かを手から放った。

銀色に光るそれを高速に回転させ、次々と同じように、何処から出したのか疑うほど。

一直線に飛んで来るそれらを、景心は足蹴にする。銀色の物体の正体が床に転がって漸く小型のナイフだとわかった。

先ほどとは打って変わって猛スピードで攻撃をかわし、未だ振り向きもしないクラウンと勢い良く距離を縮めた。


緊張感のある只ならぬ空気に、クロスフェアは動けずにいると、クラウンがやっと振り向き、ニヤリと笑って全く緊張感のない声色で云った。

「やっだ、ストック切れちゃったわ」




「捕獲完了」




「どうして此処がわかったのよ」

無言の部下に、訝しげに眉を顰めると、クラウンは腕から逃れようと必死にもがくが、つぼを押さえられている為全く身動きが取れない。

「あの、えっと」
「ああ~このでかいのはね」
「お騒がせして申し訳ない、Mr.メロウ」

クラウンが言い終える前に、景心は微笑む。そんな部下の態度が気に食わなかったのか、クラウンは先ほど言えなかった言葉の続きを大声で言う。

「こので・か・いのは、私の部下で!」
「今度来たら、追い出してくれ」
「東洋の島国出身で!武道の達人で!」
「なんなら少しくらい殴ったって構わん」
「いい加減にしなさいよ、ケイ。少し黙って」

少し上司らしいことを言いだす。後ろからガッチリと捕まっているので、全く威厳はないのだが。


「ケイシンと云って、皆ケイと呼んでいるの。私の直属の部下よ」
「そうなんですか」

部下を紹介するような場面ではないのだが、それを全く気にせずに云うクラウンに、クロスフェアは苦笑を漏らした。



「それで一応アンダーボス?」
「不本意ながら、一応な」
「え、は?」
「つまり、組織のナンバー2よ」
「へ」


クロスフェアは彼女の言葉に思考が一瞬停止したが、直ぐに考えた。思わぬ展開に追い付けない。


「本当面白いわねクロス」
「あの、その上ってボスですよね」
「当たり前じゃないの、メロウにはアンダーボスはいないのかしら?」


からかうように、心底楽しそうに笑うボスに、景心はまたか、と呟いた。





<その女、サボり魔につき注意>



fin
作品名:LEONE 作家名:幽蘭