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【書き出し共通】バナナとは何か。

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 バナナはいやらしい形をしている。
「んっ……ふっ……」
 今、私の見ている深夜アニメがそれを証明している。
 女性が髪をかき上げてバナナを口に含む(食すではない)だけで、日本の男どもは興奮し、天をつき、血流を早めると人は言う。バナナは男の劣情を煽るいやらしい形状をしているからである。練乳を加えるとそのイメージはさらに強固となる。
 しかしだからと言って、バナナの本質を見失ってはならない。バナナは食べ物である。それも、果物の玉座にありながら主食でもある血統と門地が正しすぎる食べ物なのだ。バナナは果たして主食なのか、と首をかしげる者がいるかも知れないが、それは日本やヨーロッパ式の考えに侵されている証拠である。主食であるには、まずたくさんの収穫量を得られることが一つの条件だが(他に少しの種から大量に育つこと、栽培面積に対して収穫できるカロリーが高いことなどがある)、さて、我々の知っている米や麦が、熱帯の国々……東南アジアやインド、オセアニアの島々、東アフリカ海岸と西アフリカ海岸の熱帯雨林で大量に収穫できるだろうか? 答えは否である。そのような国々で一番大量に収穫できるのはバナナなのである。
 そして肝心要、血統と門地が正しすぎるバナナがいやらしい形であるためには、一本きりでなくてはならない。通常バナナは房の状態である。実っているバナナを見たことがあるだろうか。あれにはいやらしさの欠片も見当たらない、健全無欠の食べ物の風貌である。背徳よりも健全な、肉欲よりも食欲をそそる形状では話にならないのだ。一本きりだ。一本きりだと大変よろしい。さらに言えば皮をむくという行為が伴えば大変結構、大変めでたい、大変素晴らしい。
 つまり何が言いたいのかと言うと。
 食物として血統も門地も完璧すぎる一本きりのバナナが、女性の手によって皮をむかれ口に含まれる様は、単純にいやらしいのではない。無数の要素が合わさり無数の感情がない交ぜになることで、大変いやらしいのだ。