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小さなタンポポの旅

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「あなた達。もうそろそろ別れの時です。さよなら、皆元気で」
嵐のようで実は小さい風が僕たちタンポポのはねと言われる所を吹き飛ばす。一斉に舞い上がっていく僕と僕の兄弟や姉妹達。「じゃあね、元気でね皆」と1人の姉が違う風に乗り、別の場所へと飛んでいく。それに続き「また会えるといいね」と去っていく兄や、無愛想に「さよなら」としか言わないツンデレな妹もいたり、「別れるのは悲しいけど・・・さよなら皆元気でね。手紙書くから」と泣きながら去っていく姉もいた。
そんな中「さよなら」とも「また会えるといいね」とも言わなかった最後まで同じ風に乗っているのは僕含め6人。弟2人。妹2人。兄1人。姉はもういない。
「ところで皆どこで降りる?」と1人の弟が聞く。
「オレは兄ちゃんと同じ所で降りる。君は?」
「私も兄ちゃんと同じ所で降りる。兄ちゃんは?」
「僕はまだ当分飛び続けるよ。兄貴は?」
と僕が話してる途中、1人の妹が叫んだ。「雨だ」と。
「きゃ~~~~~~~~!!!!!!!」
「おい!大丈夫か!?こっちによれ!皆固まれ!なるべく雨にぬれるな!」
実を言うと小雨なのだが、僕等タンポポのはねと言われる部分は水に弱いらしい。
「ちっ!羽がぬれた!お、落ちる~!!」
「ちょっ!兄貴!おい!落ちるな!あんたが落ちて誰がこいつらの面倒みんだよ!」
だが兄貴はもう僕の声が聞こえないところまで落下していった。そしてポトっと地面に落ちたかと思うと、鳥の風によって別の所へと飛ばされていった。
作品名:小さなタンポポの旅 作家名:DG4