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パシフィスタ
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夏の陽射し

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親友






「いやー、ぼろっかすにやられたな。」

「ああ、あれだけやられると逆に気持ちいいわ。」

結果は17対0で負けたが、俺と勇太は笑顔だった。

俺も先輩たちを抑えることができたのは1回だけだった。


「でもさ、」

「ん?」

「投げるのって、気持ちいいな。」


俺はすっかりマウンドでの気分に魅せられてしまった。


「今日は結城が引っ張っていってくれたから、あれだけの点差で済んだと思うよ。」

「そうだな、あいつはすごい。投げてて気持ちいいからな。」


実際、結城はレギュラーでもやっていけるんじゃないかと思うほど、上手い。
・・・と、俺と勇太が反省会をしている時だった。


「カズ!」

後ろから実澪がやってきた。愛李と小木曽さんも一緒だった。その後ろには花音もいた。


「お疲れ様。」




「負けちゃったけどな。」


俺は軽く笑って話す。

「でも、かっこよかったよ。勝ち負けなんか関係ないもん。」


「ヒューヒュー!お熱いですね〜。あー、暑い暑い。俺にもこんな風に励ましてくれる人いないのかな〜」

勇太が冷やかす。と同時に実澪は真っ赤になる。
後ろでは愛李たちも大笑いしている。


「でもさ、実際、俺と先輩たちとの差なんてこんなもんだよ。まだ始まったばっかだよ。」

「そうだな。」

「そうだよねー。私たちは私設応援団としてこれからもカズ君達を応援するからね!」


小木曽さんが微笑みながら言う。


「いやー、こんな可愛い子達が球場にいたら男共が何するかわかんないぞ。」

勇太が大笑いしながら言う。


「お!勇太に100点あげよう!」

俺たちは笑いながら家路についた。



「よく頑張ったね。今日、すごいいっぱい投げたんじゃない?」


俺の体をマッサージしながら実澪が聞く。


「そうだなー。150球は投げたかな。もっと投げたかな?でも、興奮してて、あんまり疲れてない気がするんだよな。」

「いいから、動かないの!マッサージしないと、明日の練習に響くよ!?」


実澪は、ルールブックで野球のルールを覚えると共に、どこで仕入れたのかマッサージ法まで体得して、練習のあった日は必ずマッサージをしてくれるようになった。

それこそ最初は痛みを伴ったものの、最近では本当に気持ちよくマッサージしてくれるようになった。

俺は実澪に感謝してもしきれなかった。
実際、実澪の支えがなかったら、飯山先輩と同量の練習メニューなんてこなせなかっただろう。


「実澪。」

「ん?どうかした?痛かった?」

「いや、すっげー気持ちいい。・・・ありがとうな。」

「何が?」

「いや、俺のためにこんなにしてくれて。実澪も勉強しなきゃいけないのに。」

「そういうことは言わないの。私が好きでやってることなんだから。」

「うん・・・ありがとう。」

「そういうことを言ってくれるだけで嬉しいよ。」

穏やかな気持ちで、マッサージを受ける。

俺は・・・実澪を大切にしよう。絶対に。ずっと離さないぞ。




作品名:夏の陽射し 作家名:パシフィスタ