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寿司戦士 シャリダー01

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 俺、話の内容も聞かずに、勢いで安請け合いしちまった。

「そうかい?そう言ってくれると話がしやすいねぇ……寿君……お前さんにな……俺の後継者になって欲しいんじゃ」

「へ?」

 かぁー

「後継者……ですか?」

「そうじゃ、後継者じゃ。所でお前さん、ヒーローになりたいと思ったことはないかい?」

「ひいろう……そんな寿司ネタありやしたっけ?」

 俺、わけも分からずそう応えた。

 ご隠居、かかかと笑った。

「寿司ネタの名前じゃないよ。ヒーローだよ。知ってるだろ?仮面ライダーやウルトラマンや」

「ああ、そっちですか……へい、知ってますけれども……」

 ――それが何か?俺と関係が?という面持ちでご隠居を見つめる俺。

「お前さんにな。ヒーローになってもらいたいんじゃ。儂の後を継いでな」

 かぁー

 鴉の無き声。すぐ耳元で聞こえるような気がした。

 鴉が鳴いたら帰ろう……ってぇ具合に、俺はすぐでも帰ってしまいたかった。

(ひょっとしてご隠居……認知症なんじゃないだろうか?)

 俺、まじまじとご隠居を見る。

「マジな話じゃ」

 ご隠居、真剣だ。

「いや……突然の話で……」

 俺、しどろもどろ。

「この世にはな……悪い奴がゴマンとおる。俺はな、人知れずそういった悪党をな退治して……」

 と言いかけて、ご隠居、いつもは、ほぼ閉まりかけている細い目をカッと見開き。

「危ない!」

 と、俺を突き飛ばす。

 二人連れで庭にもんどり打って倒れた。

「ちょ、ご隠居、なんでやすかいきなし」

 俺、しこたま頭を打った。

「寿の字……敵じゃ。今儂が話しとった敵が現れた」

「へ?どこいですか?」

 俺、展開についていけずキョトン。

「そこじゃ!」

 ご隠居が指さした先、俺が配達してきた岡持ちがある。

「来るぞ!」

 ご隠居立ち上がる。

 ………じゃく………じゃくじゃくじゃくじゃく……じゃっくじゃくぅぅぅうう……

 岡持ちの蓋がガタガタと揺れ、中から不気味な唸り声が聞こえてくる。

「じゃああーーーーーーっく」

 蓋が跳ね飛んだ。

 そして……

 ご隠居の言う敵……が現れた。

 それは……

 鰯の化け物だった。

作品名:寿司戦士 シャリダー01 作家名:或虎