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戻らない時間【詩集4】

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砂の海



空気すら乾ききって熱く燃える砂の大地
踏みしめる地面も一足ごとにサラサラと崩れていく
揺らめく陽炎と白く乾いた砂の他に何もない大地を
ずっとさまよっている

いつからここにいるのか
なぜここにいるのか分からない
どこを向いても見渡す限りの白い砂
踏みしめる堅い大地はどこにもない

灼熱の太陽が西に沈むと
極寒の夜が来る
凍る水もない乾ききった砂の大地に
乾ききった夜が来る
夜空に降る星も凍てついたこの身を暖めてはくれぬ

疲れきって声も出なかった
どこまで歩いても何もなく
どこまで行っても行く先は見えない

休むことも逃げることも許されず
ついに砂の海にくずおれた

握りしめた手のひらからサラサラとこぼれ落ちるものを
じっと見つめた

サラサラ
サラサラ
乾いた音を立てながら
それはすくった手のひらから流れ出していく

さらさらと
さらさらと


いくら見つめても
それが何なのかとうとう分からなかった

作品名:戻らない時間【詩集4】 作家名:maki