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darkness L.A. 一話「天使のいない街」

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「ずいぶん真面目だな『制服を脱ぐ』のが待ちきれないのか?」
「お前は 酔っぱらいの相手をしたり 道を尋ねる老人に手を貸してるほうがいいのか?」
「できれば一日警部に尻を叩かれることなく 過ごしてみたいな」
「心配しすぎだラルフ 問題ないさ」
セントラルアベニュー通りの交差点にある銃砲店に着いたのはそれから10分後だ。
車から二人は降車し、看板を見上げた「central gunshop」。
中に入ると店主以外誰もいなかった。単刀直入に質問することにした。
「巡査のフェルプスとダンだ この銃の持ち主を調べたいんだが」
コールは懐から拳銃を出しデスクに置いた。
店主は銃に目をやっただけで直ぐわかった。ベテランだ。
「スミス&ウエッソン モデル27 登録番号付きマグナム 367口径弾 
 パールグリップにニッケルメッキ仕様 バットン将軍のと同じ銃です」
ラルフは笑った。
「ハハッ・・『将軍の銃』って言ってるのか?」
「いえ まさか 『同じ銃』って言っただけですよ」
そこにコールが仲介する。
「銃に随分詳しいんだな」
「仕事柄ね 前に同じのを売りましたが・・・この銃ならサイだって倒せますよ」
「特注でしか買えないシロモノですね」
店主は後ろの木棚から注文控え書を取ってきてデスクに置いた。
「拝見しても?」
「どうぞどうぞ」
「なにか事件でもあったんですか?」
コールはあえて黙って名簿を拝見した。探すまでもなく、すぐに分かった。記入表の上から二番目に書かれていた。
「ツイてるぞ エロル・シュローダー サウス・グレス・ストリート263番地」
住所も分かった。あとは追い込み、逮捕するだけだ。
「ありがとう 大助かりだ」
「またどうぞ 市民の務めですから」
店を出てパトカーに乗車する。ラルフが話を切り出してくる。
「電話するのか?」
「いや・・・やつが家にいるかどうか確かめよう 銃の持ち主だからといって犯人とは限らない」
「分かった 乗りかかった船だ ゆけ ガンガ・ディン」
また4th stの橋を渡って犯人の家に向かおうとしていた。グレスストリートは街のハズレであり、『ある意味』でも外れた域だ。
「ざっとこんなもんさ制服組だからといって 黙って指を加えて見ている必要なんてないんだよ」
「かもしれんが 話ができすぎじゃないか?唯一無二の凶器が実名を使って地元で買われたなんてよ
 シュローダーがホシなら かなり杜撰な犯罪者だな」
「だからこそヤツらは捕まるのさ それに犯罪の3分の2は衝動的に行われる」
「フェルプスお得意の豆知識か お詳しいこって」
シュローダーのアパートについたのはそれから3分後。停車し、アパートを確認した。
小さな建物だが隣半分は食品店で半分がアパートになっている。アパート自体はみすぼらしく、貧民が住むに等しかった。
アパートに入ると階段が設けられ脇に郵便受けがあったので確認する。シュローダーは二号室だ。
二階にあがり二つ目のドアが二号室だ。コールはノックする。出てきたのは黒いシャツを来た中年だ。
「誰だあんたら」
「ウィルシャー署のフェルプスとダンです パールグリップ ニッケル加工の拳銃をお持ちですね?」
「かもな それで?」
「驚きますよ その拳銃で今夜スクーター・ペイトンが殺されました」
「馬鹿言うな スクーターは俺の部下だぞ 銃なら引き出しに閉まってある」
シュローダーは引き出しのところまで行き、開けた。
「一体どうなってやがる!?」
「逮捕するシュローダー」
コールは室内に入り込みシュローダーに迫る。
「手錠だラルフ」
「おい!手錠なんてウソだろ!」
刹那。シュローダーはラルフに先制攻撃をしかけ顔の側面をめがけストレートを繰り出した。
渾身の一激を喰らったラルフは気絶した。やるしかない。
またもや相手は右フックを繰り出してきた。戦争帰りは伊達じゃない。
コールはあっさり避け懐に入り込み腹部に左フックを入れる。
シュローダーは呆気なく卒倒。後ろの棚に頭をぶつけ気絶した。
「シュローダーめ馬鹿なことをして」
ラルフは何とか意識を取り戻しシュローダーに手錠をかけようとした。
「ラルフ大丈夫か?」
「大丈夫だ・・・ふいをつかれてしまっただけだ・・・」
手錠をかけられたシュローダーは手に何かを持っていた。コールはそれを取り上げ読む。
何と中にはフロイド・ローズの名前が書かれていた。フロイドの名前には×印が書かれていたが、他の数名の名前にも×印があった。
ただ、スクーターの名前には○が・・・これでようやく事件は終わった。
「フェルプスこれ以上首を突っ込めば 表彰どころか ヤブヘビになるだけだ 応援を呼ぼう 手帳は元の位置に戻しておけ」
こうして事件は解決したわけだが、全て刑事達の手柄になるだろうってことだけはフェルプスは気に入らなかった。