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darkness L.A. 一話「天使のいない街」

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―ここは今に大都市になるぞ 人でなく車が中心の社会にな 車は自由と活力の象徴だ―

―そこでは誰もが家を持ち 安らぐことができる 隣のヤツにも覗かれることもない―
  
―男が一城の主になれる街 成功すれば4/1エーカーの夢を手にいれられる―

―日和主義者が集う街―

―ハリウッドという存在が世界中の思想と欲望を描き出す夢の街―

―先駆者が集う街―

―夢追い人が集う街―

―『隠し事』が多い街
  ここで目に映るもの全てが 真実とは限らない―

―世界中が憧れる20世紀の都市―

―境界線の無い 果てしなく広がっていく街・・・


      

――海兵隊には指揮系統っていうものがある。ミスは付き物だが・・責任は自分にある。もう気づいてるだろう。お前の『敵』は傍らにいるってことが。
だが汚職の捜査は影を追うようなもんだ。誰が賄賂を受取っててもおかしくはない。
自分の相棒や 上司ですら。で お前は誰を信じる?俺はとうに決めてるぞ――

ロス市警、ウィルシャー分署の新配属警察官コール・フェルプスは巡査のラルフとともに
夜9時の巡回をしていた。だがこの日は何時もとは違う。中央署の巡回区の担当者が捜査の一手を借られたためコールはその区も担当することとなった。7thstはLAリバーを跨いだ橋だ。ラルフは夜風に吹かれながら辺りの景色を一望している。
santa fe stの十字路の信号で停車しコールは小腹を埋めるため缶詰のミネストローネを開けようとした。
「俺にも一個くれないか?」
「おいしいと言える代物じゃないぞ 缶詰は海兵隊時代によく食べたからな」
「じゃあやめておくよ 早く巡回を済ませて家でブレッドでも食べたいね」
他愛もない会話も途絶えようとしていた時、ノイズ音が車内に響く。二人は無線を取ろうとチューニングをした。
ひと呼吸置いたあと、無線は入った。
「司令部より・・・アダム 14アダム応答せよ」
ラルフは受話器を手に取り返答する
「どうぞ」
「14アダム 刑事と合流しろ 6番とindustrial stの角で事件発生 負傷者有り 16ウィリアムが捜査協力を要請している
 14アダム コード2で向かえ」
「了解 急行する」
信号は切り替わり進行できる状態になっていた。コールはアクセルを踏みzth st を直進した。
「またかよ 俺らが駆り出されるってことはきっと裏があるんだ」
「ラルフ 楽天家だな」
「人のこと言えるかよ」
コールはzth stの二つ目の十字路を右折した。路地には既にお馴染みの黄色い柵が設けられ関係者以外の立ち入りは禁止されていた。
その脇には汚れきったナッシュ600が停車されていたきっと刑事のだろうが。
車を停車させ、路地の前で刑事たちと合流した。一人は中年黄緑色のズートスーツとハットが特徴でタバコを吸っていた。もう一人は
もう定年だろう、グレーのスーツに金色のネクタイピンをしている。
「殺人課のフロイド・ローズだ 応援のものか?」
「はい ウィルシャー分署のフェルプスとラルフ巡査です」
「この路地で発泡事件があった 被害者はスクーター・パイトン 黒人男性で 遺体は中央死体安置所へ搬送中だ 目撃者によると 犯人と目される 長身の白人男性が被害者の頭に2発撃ち込み銃を投げ捨てたらしいその銃を探すのが君達の任務だ」
発泡事件はよくある。いや、一日数十件だって起こることも珍しくない。物騒だ。
「じゃ頼むよ」
コールの肩をポンと叩き去ろうとした。
「特にどの辺りを探せば?」
「好きにやってくれ 死んだ男はゴロツキだ 奇跡が起きなくても構わんさ」
「銃が見つかったら?」
「鑑識に回してくれ 俺はあと行く しっかりたのー」
「早く行こうぜフロイド 次の現場がある」
ズートスーツの相棒は車のエンジンを起こし何時でも出せる状態でいた。やはり車は・・・あのナッシュ車だった。
刑事は汚れたナッシュに乗車し去った。さて、捜査開始だ。
路地は暗かった。一番奥は見えたが直線距離でおよそ50mといったところか。
「形だけの捜査か・・・銃はどうせ見つからないさ」
「たぶんな 見つからなければそれで終わりださっさと終わらせよう ラルフ」
「そうだな 奥まで探してみるか 何も出てこなかったらそこで一度相談だ 2人だとなんとかなるさ」
ラルフは先に奥まで歩いて行った。コールは奥までゆっくりと細心の注意を払いながら探してみることにした。
足元を照らしながら歩く。ゴミだらけだ。銃の影すら感じない。
「俺の仕事はゴミ漁りじゃないぞ!!」
ラルフも呆れたようだ。コールは思わず苦笑する。
「コール!何かあったか!?」
「いや何も ゴミだらけでどうしようもない」
ラルフが暗い奥の壁まで辿り着いたのはその直後だ。暗くて仕方ないと懐中電灯を懐から取り出し、点灯のスイッチを押す。
これでよく見えると照光の先を見た。
「なんてこったコールこいつをみろ」
ゴミ漁りを中止し奥の壁に向かう。黒かった壁はどんどん赤く見えてきた。血だ。
コールがその場に辿り着くとその様子ははっきりと分かった。
ぶちまけられた様な血痕がついていた。
「犯人は壁に被害者を押し付け頭を打ち抜いたのか」
「悲惨な最期だな」
「死んだら終わりだ 死に方なんて関係ないさ」
「突っ込むなよ フェルプス!」
血痕の脇にもう一つ細い通路があった。コールはそこを進む。
隣の2階の部屋の電灯が切れかけているのだろうかパチパチと奇妙な音が鳴っていた。コールは上を見上げる。
確かに電灯は切れかけていたが、その脇に外れかけていた窓ガラスは鏡の役割を果たして
いた。そのため屋上の様子がわかる。銃は無いだろうと見たが・・・映っていた。屋上に銃はあることが判明。
「ラルフ 屋上に銃があるぞ」
「よく気づいたな 海兵隊で鍛えられた精神か?」
「その手の話はやめてくれ とりあえず屋上にあがる方法を探そう」
「了解 気をつけろよ」
裏手の方に回ると雨水パイプが一筋上に向かって伝っていた。登ってみようと試みるコール。
以外に脆くなっておらず数メートルのパイプを登りきった。屋上は広くなく、銃の在処もすぐに見つかった。
コールは銃を手に取る。グリップはパール(象牙)の装飾が施され美しい回転式拳銃だった。
「スミス&ウエッソン・・・製造暗号57189」
使用された凶器か確認するため弾倉を開ける。
「発射弾数は二発・・・排水管に捨てずに屋根に投げ捨てるとは面白い犯人だな・・・」
銃を懐にしまい、またパイプを降るコール。
「今すぐ確認してみよう 犯人が街から逃げ出す前にな」
「銃を回収したな コール 中央署に持っていこう 褒美がもらえるかもよ?」
「いや、もう少し粘ってみよう ラルフ銃の持ち主を探すんだ」
「分かりっこないぜ コール」
「コイツは特殊な銃だ 近くに銃砲店はあるか?」
「ああ この数ブロック先だよ」
来た道を折り返しパトカーに戻った二人はサウス・セントラル・アベニュー367番地の銃砲店を目指すことにした。
「本気か?コイツは俺たちのヤマじゃないぞ」
「少しくらい探したって 害はないさ 背広組は対して感心がなかったようだしな」