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キミは…ダレ?[外出編]

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誰かが、言っていた。今日の空はのっぺらぼうだと。青空には雲が 見当たらない。
陽射しが、葉が出揃っていない桜の木の枝を通して 歩道に差し込む。

おや?歩道で体を伸ばしているヤツがいる。
ほんの三センチ。 あ、ごめん。三センチ五ミリかな。
赤茶けた色の体に、暑苦しいだろう毛を纏い、通りかかる靴が当たりそうで 避けられているキミ。
いつから其処に居るの?危ないというか、邪魔なんだけどね。
間違って靴の下に居ようものなら、げっ!って たぶん言われるよ。
早めに退いたほうがいい。
ほらぁー、待っていたって キミを優しく抱き上げて、心地良い桜葉のベッドに寝かせてくれるようなモノはいないよ。
キミだって期待していないでしょ。
なに? ははん、体を動かしたら 陽射しにくらりんとして、居場所から落っこちたのか。それは、お気の毒なことです。
幹の上に居ても、ムクドリに食われてしまうって? だからって踏み潰されるのを 望んでいるわけでもないでしょ。
今は通るモノも 少ない。早めに 木の上に帰ってくれないか。
そして、キミが大人になって 素敵とは言えないが 空を飛べる羽が整ったら 速やかに旅立つことを願うよ。

名前くらいは、知っててあげよう。なに? マイマイガ そっか…… ま、いいかとはやっぱり言えないや。
ほら、キミの仲間が この上から 見下ろしてるよ。
じゃあ、行くね。元気で……。あ、自転車が。 
キミのその後は 知らない。

作品名:キミは…ダレ?[外出編] 作家名:甜茶