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ねとげ~たいむ

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クエスト7,電脳世界の海



 良く晴れた空に太陽が輝き、大きく広がる海を一艘の船が進んで行った。
 現在ランク6に進んだ私達はクエスト『怪! 迫る海賊船』を受けていた。
 最近海を航海中の船舶が海賊船に襲われると言う事件が起こった。 
 ただし普通の海賊では無く、モンスターが関わっているらしく、その調査の為にこのクエストを受けたのだが……
「何で水着なのよ……」
 今更と思うが私は今の自分の装備を見る。
 装備している武器はファイア・ソード、左手には鉄板を幾つも重ねて造られた籠手『バックラー』と頭には『金の髪飾り』を装備している…… だけど問題なのは胴体、今回は水着だった。
 ちなみに水着は『渚の水着』と言う防具で、装備するジョブによってグラフィックが変わる。
 戦士(女)の場合は上が赤、下が青いジーンズの様になったタンキニで、腰にベルトを巻いて剣を差したデザインとなっていた。
 ちなみに一足早く先に海に飛び込んだエミルは緑で下がフリル状になったセパレート、頭には金のサークルの左右に魚の鰭が付いた様な人魚の冠を被り、武器はアクア・トンファーを装備していた。
 レミは白いビキニに十字架がたくさん描かれたパレオを巻き、頭には新しく購入した『神官の帽子』、武器は右手にホーリー・メイスを持って肩にかけていた。
 センリは何故か旧スクと襟を立てた黒マント、頭には片眼がウィンクした金色の黒猫の顔が刺繍された黒い帽子『ウィッチ・ハット』を被り、武器は雷鳥の杖を装備していた。って言うかなんてマニアックな……
 今回のフィールドが海なだけに水着着用が義務だった。ちなみに水着はエミル意外持っていなかったのでクエストを受けた後、街から出る前に購入した。
 確かに鎧なんか着て海に入ったら溺れるけど、現実じゃないんだからそこまでこだわる必要無いんじゃないかと思った。
「どうせなら現実の海に生きたかったなぁ」
 私は愚痴った。
 他の3人は海がある町出身だから良いけど、埼玉出身の私は海には縁が無い、それでも最後に行ったのは2年前の臨海学校(去年は受験だったから)ぐらいだった。
「その前に一緒に行く相手を見つけなさいな」
 レミが私の後ろから手を回して来た。
「ううっ、レミの意地悪」
 私は口を尖らせる。
 私だって彼氏は欲しい。
「そ、そう言うレミだって、彼氏いるの?」
 私は言い返した。
 するとレミは胸を張りながら言って来た。
「そりゃもう、彼女になってくれって奴は沢山……」
「どうせ正体バレた途端ビビって逃げちゃうんでしょ?」
 エミルがさらに後ろから腕を頭の後ろに回して目を細めながら言って来た。
「うっ、うっさいわね! 色気より食い気のガキは黙ってなさい!」
 否定はしないのね。
 アバターのレミでさえ怒るとおっかないんだからレミのプレイヤーってどんな人なんだろう?
「でも海賊船なんてどこにも無いね、出てきてもどうやって戦うのかな?」
 私は疑問に思った。
 ゲームの内容につっこんでも仕方ないと思うけど私は意見を聞いてみる。
「きっと船が変形するんだよ、○○変形って、そんでこっちの船もロボットになって……」
「特撮の見過ぎよ、普通に相手の船に殴りこみでしょう」
 普通に乗り込むって言えないのかな?
 確かにレミの方が正しいだろう、でも私は船の舵をとってるセンリにも訪ねた。
「センリはどう思う?」
「どうって?」
「いや、今回の敵はどんななのかなって……」
「あれじゃない?」
「えっ?」
 センリが指を差すと水平線の向こうに怪しい色の雲が立ち込めていた。
「雨かな?」
「いや、どう見ても違うでしょ」
 私は言う。
 あんな不気味な色の雲なんてありえない。
「行ってみる?」
 センリが言うと船は進路を変えた。
作品名:ねとげ~たいむ 作家名:kazuyuki