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文が痛い

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マコ



 少しずつ寒くなってきています。私の心も……なあんて。
 まず決心をしました。東京に行きます。あなたに逢いに。ふふ、びっくりしたでしょう。でも半分だけどね。友達のところに行くの。それでこっそりカズの仕事をしているところを見てみようなあなんて思ってたけど、いやカズに逢いに行って、ついでに友達に会うのかな。

 ふーっ、なんだかどきどきしてきたわ。カズが大阪で仕事をみつけて…というのもいいねえ、想像しちゃった。ほんま? なんてカズがしゃべるの、はっははは。
 文化の日と日曜の連休です。時間は未定なので、カズが会社にいる間に電話をするようにします。少し怖い気もするけど……。

 報告です。父と母はもう別々の部屋でテレビを見ています。一緒にいたくないなら別れたままでいればいいのにね。父は生活のすべてをやってもらうために、母はただ単に普通の家族という型をつくる為に。

 父は就職先を探しているのかどうかわかりません。日曜にマコがだらだらと家にいると競馬中継の音が聞こえます。たぶん平日も馬券を買っているのでしょう。
 母にお金を借りるのに言い合いになったり、それからたまにお寿司などを食べて、上機嫌にお酒を飲んでいることがあるのは、儲かった時でしょうね。
 そして父は、ついに私の部屋の戸をノックしました。マコは返事だけして戸を開けませんでしたが、父は入ってきて、ネコ撫で声で言いました。
 ちょっとお金を一万貸してくれないか、一週間したら失業保険が入ったら返すからと。マコは今もってないと言うと、明日でいいから、頼むよ。と言って私の肩に触ろうとしたので、反射的にその手をたたいたら、父はものすごい顔をして睨みました。そしてすぐに愛想笑いに表情を変え、じゃあ頼んだよと言って去りました。マコはそれ以来部屋のカギをかけています。

カギをかけると余計に孤独を感じます。
ありゃあ、せっかく盛り上がった気持ちがバカ親のためにだいなしね。

 この前、マイルスデイビスの【ビッチェズ・ブリュー】買いました。現代音楽っぽいけど、ドラマチックで幻想的でいいねえ。これを聴いてマコは魔子になる。
 あいつとあいつらに魔法を……。
  そしてあなたには別の魔法を……。ふふふ。
    会える日を楽しみに                      マコ

作品名:文が痛い 作家名:伊達梁川