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セテゥンタ
セテゥンタ
novelistID. 44095
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掴んだファンは絶対離さない

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これはとあるライブに行った時の話である。
俺と友人はホールの中で席に座っている。
辺りを見回すと、ホールスタッフと思われる人達が客を誘導している。

「人いっぱいおるなぁ・・・。」
「他のライブもこんなもんやで?」

「まじかよ・・。しっかし、なんか女子率高くないか?」
「俺らみたいな連中は平日やし、普通はみんな仕事なんやろ?」
「ああ、なるほど。それで女性が多いのか。」

「もうすぐ開演かぁ・・・。」
「だな。そういや最近、何しとん?」

「んー。最近か・・。最近、DJ好きが集まるコミュ行って来たな。」
「DJってレコードをクネクネさせるあれか。」
「いや、最近のDJはクネクネは無いらしい。デジタル化が進んで、アナログ的な行いはほぼ無くなったらしい。」
「DJも変わったねぇ」

そんな雑談を延々と繰り替えした。やがて、どこからともなくイケメンボイスと思しき声が聞こえてきた。
「みんな〜!来てくれてありがと〜〜!!」
その声はバンド結成当時からメンバーを束ねてきた、カリスマの声だった。
カリスマ声を聞いた瞬間、会場からはキャッキャウフフな歓声が会場内に立ち込めた。

「じゃぁ、さっそく俺達の歌をきいてくれ〜」
そう言った瞬間、会場は闇に包まれ、舞台の幕にバンドメンバー達の影絵が映し出された。

それを合図にしたかのように観客達が一斉に立ち上がった。
なんだこれは!これがライブの空気なのか?!と思いつつ、俺と友人も観客席から立ち上がった。

そして、ドラムがバチでステップを重ねると同時に、幕が上がり始めた。
幕が上がると同時に彼らの背中を照らしている光源が綺麗なイルミネーションを演出していた。

再び歓声が上がった。今度は彼の名前を呼ぶ声が上がる。人気の程が伺える。

バンドメンバー達と観客が一体になったかのように楽器の奏でる音色に従うように、観客が手を振ったり、手拍子でリズムを合わせた。

それが3曲くらい続いて、俺の足は限界に達していた。なんとも貧弱な足だ。
だが、それを察したのかは知らないが、演奏し終わった時だった。

「皆さん、ここからは座ってお聞きください」
さすがはカリスマ・・・気配りもできてやがる・・・。

その声に従い観客や友人、俺もみんな座った。
そしてそこからまた2曲くらい連続で演奏が行われた。

だが、今度はあろうことか眠くなってきた。
さすがにこれは失礼だと思って一生懸命耐えたが、ダメだ。もう俺のライフバーは0のようだ。
絶対絶命って状況だよ・・・。いや、hpは0だけど・・・。


だがそれすら、カリスマにはわかっていたかのごとく、
演奏が終わるやいなや、カリスマとメンバーによるライブトークが始まった。

そして、そんな俺の危機すらも、カリスマは・・・。いや、カリスマ達は見事に救い、無事に全ての演奏を聞く事が出来た。

帰り道に、プロのミュージャンのすごさを友人と語り合ったが、未だ俺達の頭からはなぜかグロッケンが離れることがなかった。