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四神倶楽部物語

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 それでももう一つ尋ねてみました。
「ところで、工場は電気も一杯使うだろ、発電はどうしてるの?」
 これに魔鈴は昨今の日本の原発問題を知っているのでしょう、「正直、ここまでくるのに紆余曲折(うよきょくせつ)あったわ。でも最終的にはメインに地熱を選択したの。それも一つの理由だったわ、緑星人がなぜ地底へと積極的に潜って行ったのかのね」と参考になるコメントをしてくれました。私たちは「ふうん、そうなのか」と深く頷くしかありませんでした。

 ミッキッコに佳那瑠、そして悠太に私、妹の魔鈴の弁によれば、四神の末裔の私たちはこのグリーンスターで生まれました。そして縁あって、幼い頃に地球の日本に派遣されました。そして普通の人として育ってきました。
 だが、今の日本を見れば、少し景気は回復してきたことは事実ですが、庶民の暮らしはまだまだ苦しい状況が続いています。果たしてどれだけの人たちが、現在の暮らしに満足しているでしょうか?

 それに比べこのグリーンスター、その目指す社会、それはこの小さな星を未来へと繋げて行くために、地表の自然、それを加工することなく、あるがままに守る。そして、それを受容し、緑星人たちはその条件下で共存し、持てる知恵を駆使し活き活きと生きる。そんな社会を目指しています。

 そしてそのための方針は──インデペンデンス(independence)とリコグニション(recognition)、つまり自立と尊認を成し遂げて行くことだと言います。グリーンスターとして、目指すべき大きな姿(すがた)形(すがたかたち)があります。

 こんな話しの展開や見学により、まことに残念な話しですが、地球が大宇宙を彷徨(さまよ)う遭難船のように見えてくるのです。
「あ〜あ」私たち四人はもう溜息を吐かざるを得ませんでした。

「お兄さんたち、だから四神倶楽部の存在の意義があるのよ。さっ、研修旅行はここまでにして、これからは観光にしましょ」
 魔鈴はこう気遣い、そこからの半日、いろいろな観光地を案内してくれました。




作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊