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四神倶楽部物語

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 あまり前向きではない提案であったわけですが、三人は「そうしましょう」と大きく頷き、同意してくれました。こんな会話をしている内に、魔鈴が運転する天車はスムーズに地下都市内を飛翔し、一つの古い建物へと着きました。

「さあ、ここが国会議事堂です、ちょっと見て行きましょう」
 魔鈴が案内してくれました。それはそんなにも大きくもなく、また立派なものでもなかったです。訝(いぶか)しがってる私たちに魔鈴は、「要は、形通り小さい政府なのよ」と、さらりと。
「魔鈴、それにしてもこの近辺に他の省庁、例えば財務省とか経済省とかはないの?」

 周辺も同じように閑散としていました。
「財務省はこの近辺にあるのだけど、他はすべて地方に分散しているわ。東京のように一局集中でその効率を取るか、分散して地方の疲弊(ひへい)を少しでも緩和して行くか。結局は臨場感あるTV会議などが開発されて、またネットの進歩で、遠近の物理的な距離がなくなってしまったの。どこにいても一緒なのよ。ならば自然が一杯ある地方へと省庁も企業も地方へと分散して行ったわ」

「そうか、日本もそうなるかなあ」
 私がそんな呟きをすると、魔鈴は「四神倶楽部として、ちょっと後押しが必要かもね」と曖昧(あいまい)に答えます。それにすぐさま「後押しって?」と問い返しますと、「それはね、地方それぞれのインデペンデンス、自立ね。四神倶楽部がその方向に導くことが大事なのよ」と、またまたしっかりしてます。
 私たち四人は「ほー」と感心の声を上げるしかありません。

 国会議事堂を一通り見学した後、魔鈴が次の二つの訪問地を案内してくれました。それはいずれも工場でした。一つは野菜工場で、地底にありました。太陽の光を地上から引っ張ってきて、壇上になっている畑にナスやトマトやレタスが豊に実っていました。またもう一つはロボット工場です。ここで生産されていたのは人間型知能ロボット、いわゆるヒューマノイドでした。

「お兄さん、この子たちアニマノイドと一緒で、緑の目をしているでしょ。このグリーンスターでもね、日本と同じく少子化で、労働力が不足してるわ。労働ロボに介護ロボ、それに家事手伝いロボに友達ロボ、いろいろいてるのよ。今では全人口の20%くらいかな。これ以上は増やしませんけどね」
「へえ、そうなんだ、ちゃんと限度を見極めてるんだ」
 私は感心するしかありませんでした。


作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊