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勇者と魔王の話

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むかーし、むかし。気が遠くなるほど昔のことでございます。あるところに恵み豊かな緑の国と深い雪に覆われた北の国とがありました。
 暖かい緑の国は一年中いろんな食べ物が採れましたが、北の国は寒すぎて作物がほとんど育たず、人々はいつもお腹をすかせていました。ある日のこと、飢えに耐えかねた北の国の人々は緑の国へ食べ物を採りに行きました。
 ところが緑の国には恐ろしい魔王が住んでおりました。魔王は強欲だったので、北の国の人々に食べ物を分けてあげるつもりはありません。緑の国へ入って来た北の国の人々を、魔王は次から次へと殺していきました。北の国の人々は魔王と魔王の手下を相手に必死になって戦いましたが、魔王の軍隊はとても強くて勝てた者はいませんでした。
 困り果てた北の国の人々は神様に助けを求めることにしました。魔王に襲われ、苦しむわたしたちを助けて下さいと、何日も何日もお祈りを続けます。すると神様は北の国の人々の祈りに答えて一人の騎士を与えました。
 神に遣わされた騎士はとても強く勇敢で、正義に満ち溢れた人でした。騎士は北の国の人々を率い、魔王の軍隊を次々と打ち破っていきました。長い長い戦いの末、ついに騎士は魔王の城にまで攻め込むと、魔王の妻である魔女と魔王の息子をみごと討ち取ることに成功しました。
 しかし肝心の魔王が城にいなかったので、討ち取ることができませんでした。そのうえ魔女はとても強かったので、騎士はひどい怪我を負ってしまいました。このままでは戦うことはできません。しかたなく騎士は北の国に戻り怪我を治すことにしました。
 魔女を討ち取ったことで魔王の軍隊の力はかなり衰えていました。北の国は緑の国からたくさんの恵みを得ることができるようになりました。その恵みでより強い武器を作ることができるようになったので、北の国の人々は新しく作った武器を手に、残った魔王の手下たちを次から次へと倒していきます。あとは魔王と残り少ない魔王の手下たちだけです。北の国の勝利は目前と思われました。
 しかしそう上手くはいきませんでした。騎士の怪我が治る前に、北の国のお城まで魔王が攻めて来たのです。北の国の兵士たちは勇敢に立ち向かいましたが、魔王の邪悪な力の前に敵う者は誰ひとりとしていませんでした。
 やがて騎士を守る兵士たちはすべて魔王に殺され、騎士はたった一人になってしまいました。けれど飢えた北の国の人々のため、倒れるわけにはいきません。騎士は怪我を押して魔王に戦いを挑みました。
 戦いは三日三晩続きました。怒り狂った魔王はとても強く、なかなか勝つことができません。しかし騎士は人々の祈りに答えるため、力を振り絞って戦いました。
 やがて祈りの力を得た騎士の前に魔王は徐々に追い詰められていきました。不利を悟った魔王は手下を呼びましたが、力を得た騎士の敵ではありません。騎士は魔王の手下を全て倒し、ついには魔王をも打ち倒しました。
 魔王を倒したことで、北の国の人々は飢えることも魔王の軍隊に怯えることもなくなりました。魔王を倒した騎士は北の国の王になり、国は大いに発展してみんな末永く幸せに暮らしましたとさ。
 めでたしめでたし
作品名:勇者と魔王の話 作家名:紫苑