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存在感

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「コンニチワ」
彼女にほど近い声で流暢にかけられた挨拶に、彼女は大きく息を吸い込んだような悲鳴で答えた。
そのうえ、身体は反転し、エレベータの扉に背中を押し当てた。
彼女は、それと向き合ってしまったのだ。
彼女の大きく見開かれた瞳は、その何かの全身を見捉えた。
(……わ、たし?…)
 その時、廊下の明かりが流れるように点灯した。
彼女は、さらにまじまじと その何かを見ることができた。
(わたし?)
 青い取っ手の部屋から男が出てきた。
此処の研究室の博士兼所長だ。もうひとつ加えれば、三年来の彼女のパートナの男だ。
「いいだろう!驚いた?凄いだろ?完成したよ!真っ先にキミに見せたかったんだ。    良く似てる。うん」
彼女は、肩の力が抜けたと同時に大きく溜め息をついた。
「ねえ、ひとつずつしゃべってくれないかしら」
「えー。じゃあ。い・い・だ・ろ・う」
「もうー違うってば。なあにコレ?アンドロイド?いつから?どうして私?」
「おいおい、キミこそひとつずつしゃべってくれないか」
彼女と男は、緑の取っ手の部屋にその人型のものを連れ込んではいった。

「驚いた。でも凄いわ」
「そうだろ。まあアンドロイドの進化系っていったところかな」
「進化系?」
「そうだよ。アンドロイドは人間に見かけも動きも酷似したヒューマノイドロボット」
「そうね。動作も表情すらも滑らかにできるようになってきたわね」
「そうさ。大阪大学のATR知能ロボティクス研究所では、さらに人に近づけた技術研究がされているそうだ」
「あ、私、その方石黒浩教授の著書数冊持ってるわ」
「存在感や伝達まで持つロボット」
「じゃあこれはそのジェミノイド?」
「いや、僕は、研究員じゃないから 残念ながらそれは譲って貰えないよ。でも尊敬と
憧れは大きいね」
「じゃあ、これは?」
「僕と此処の研究員のできる限りの傑作品さ」
「でも、私に似てるわね」
「まあ、資料は近くにあったからね」
「え?あ、やだぁー」
「でも、光栄だろ?双子みたいでいいじゃないか」
「不気味の谷現象の谷底から這い上がれない感じだったわ」
「不気味の谷?ああ、人間のロボットに対する感情的反応か。人間に近づくと好感的なっていくが、ある時点で突然強い嫌悪感に変わるってやつね」
「そう」
「そこで、キミに頼みたいのは、一緒に過ごしてデータをとってくれないか」
「はぁ…わかった。よく見てれば、また好感が持てるようになるかもね」
作品名:存在感 作家名:甜茶