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太陽のはなびら

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【第十章:言葉の世界が紡ぐ言霊】



 しばらくの間、シンはリュヴリュと話をした。
話の内容は、たわいのない物だったが、リュヴリュは楽しんでいるようだった。
先ほどの悲しそうな表情は、すっかりと消えて、こわばっていた表情も柔らかくなった。

「そういえば、さっき話してくれた【古代語】ってなんですか?」

リュヴリュは残り少なくなったクッキーをほおばりながらシンに尋ねた。

「ああ、古代語ってのはさ、今は使われなくなった地方ごとの言語の事だよ。ここら辺は昔ルシア語という古代語が使われていたんだ」

「へえ、昔は言葉がたくさんあったのですか。大変ですね」

「まあ、確かにね。古代語はもはや過去のもの。使う機会はほとんどない」

リュヴリュは不思議そうに首をかしげる。

「なら、なんでわざわざ使われなくなった言葉を知っているのですか?」

確かに使わなくなった言葉を覚えるのは無駄かもしれない。そうシンは答える。

「僕が古代語を覚える理由はね。言葉が一つの世界だからなんだ」

作品名:太陽のはなびら 作家名:伊織千景