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超短編小説  108物語集(継続中)

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 地底都市から宇宙船への新エレ幹線での移動、これは費用の掛かること。しかし、妻となる佳奈が拓馬の願いに従って決断してくれた。これに対してのせめてもの感謝の気持ちだ。佳奈はそんな拓馬の思いやりを感じたのか、優しく微笑んだ。
「嬉しいわ、拓馬。だけど人類がこんなことになっしまってるって、300年前の人たちは予想もできなかったでしょうね。昔の人から見れば、まるでSFの世界だわ」
「ああ、その通りだね。これが今の僕たちの宿命なんだよ。とにかく家族を作って、未来に向けて人類の血を繋いで行こう」
 拓馬はこう言い切った。そして佳奈の手をしっかりと握り締めたのだった。

 こんな二人の会話と振る舞い、一体どういう事態になっているのだろうか? それは約300年前の西暦2020年まで遡らなければならない。
 ある日のこと、衛星放送を通じてセンセーショナルに発表された。
 火星と木星の軌道の間にある小惑星帯、その中にデビルと言う惑星がある。2050年にそれは周回軌道を外し、地球に大接近する。そして隕石として落下するであろう。この衝突により地球はその灰で覆い尽くされ、かって恐竜も滅亡した氷河時代に突入する、と。

 このニュースは世界の人たちを震撼させた。しかし、まだ2050年までに30年の時間がある。まだ遅すぎではない。人類は決断した。生き残りをかけて、二つの新天地を求めて移住することにしたのだ。
 その一つは地下へと潜り、地底都市を築くこと。
 そこでは地熱エネルギーで発電し、温暖でかつ光ある世界を創出することが可能なはず。その上に地熱温泉付きだ。

 そしてもう一つの選択は、地球の上空35、786キロメーターにいくつもの大型静止宇宙船を浮かべ、そこへの移住をするというもの。もちろん重力を得るために回転型で地表と同じ感覚で暮らせる。弱点はスペースが狭いことだ。しかし、毎日眺める風景は星たちが煌めく神秘な大宇宙。まことに美しい。

 地底都市か、それとも天上界の宇宙船か、どちらに移り住むか一人一人にその選択が迫られた。そして拓馬の祖先は地底都市を選び、佳奈の先祖は宇宙船を選択した。