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超短編小説  108物語集(継続中)

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「今年もやっと見つけることができたか、良かったよ」
 単身赴任の圭吾(けいご)は、誰もいない部屋で感慨深く独り呟いた。そしてマグカップを手にし、冷え切ってしまったコーヒーをおもむろに口に含み、パチンとパソコンを閉じる。

思い起こせば、佳奈瑠(かなる)と結婚してから二十五年の歳月が流れてしまっている。そして今年は銀婚式の年。
「まあ、よくぞここまで、やれてこれたものだなあ。これも群馬の地上絵のお陰だったのかもなあ」
 圭吾はこんな不可思議なことをついつい口にしている。そして、一緒になろうよ、と佳奈瑠にプロポーズした時のことが脳裏に蘇ってくるのだ。

「圭吾、一応お受けさせてもらいます。だけどね、探して欲しいものがあるの。それからにしてくれない」
 圭吾のプロポーズにこんな返答をした佳奈瑠、あとは真剣な眼差しで見据えてくる。圭吾は何のことかさっぱりわからない。
「一体何を見つけ出せば良いの?」と顔を覗き込むと、佳奈瑠はまるで大きな秘密を打ち明けるかのように、耳元でそっと囁いた。
「私たちの……、群馬の地上絵よ」