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超短編小説  108物語集(継続中)

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「コーヒーでも?」と芹凛が声を掛けてきた。
 百目鬼にはわかってる、お嬢の推理がまとまったのだ。話してみろと目で指示を飛ばすと、芹凛が語り始める。
「春祭光一の絞殺事件はほんの一部です。島の男集団は殺し屋、依頼人から多額の金をもらって殺人、その上に木箱に詰めて、島に送る。つまり殺人料と保管料がメシの種なのです。そうでなければシチリア島にあるような別荘暮らしは出来ません」

 百目鬼がこれに親指を立てる。
 しかし芹凛は「多くの行方不明者がいます。きっと海人グループに殺され、遺体は洞窟で木箱に入ったまま。この無念さの証がゾンビたちです」と唇を噛む。
 そして百目鬼は「戸籍調査では、島の住民は太郎と花子の二人だけ、他は無戸籍だからなあ、実態がない」と腕を組む。

 こんな歯切れの悪い百目鬼を見たことがない。
「海人は人間に似た海の妖怪、あんな夫人、いやメスには負けられないわ」と芹凛がドンと机を叩く。
 これに百目鬼は本来の鬼刑事に戻ったのか、目をぎらつかせ吠えるのだった。
「さっ、行くぞ! 洞窟倉庫を全部暴きに。これこそが大事件解決への、次の一手だ!」