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超短編小説  108物語集(継続中)

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 黒板に描いた生き物が飛び出してくる。私は貧乏サラリーマンのアパートの一室で、この黒板にまず一番に何を描こうかと悶々と悩みました。
 朝起きて、トーストを囓りながら決心しました。それは浩二のお薦めの嫁さんではなく、白髪混じりの男です。
 チョークでの絵が完成すると、男はすっと現れ出て来ました。そして間髪入れずに、朝っぱらから人生訓話を一発ぶちかましてくれました。
「己の信じるところ生きろ!」と。

「ウッセイな、わかってるよ!」
 私はムカムカときて、もう一度だけ会いたかった人の絵を消してしまいました。しかし止めどもなく涙が溢れてきました。そして涙声で私は妖怪児童の黒板に向かって叫んでしまったのです。
「父さん、会えてよかったよ!」