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超短編小説  108物語集(継続中)

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 今日ここに集まった勤め人たち、全員似たり寄ったりの口惜しさで藻掻いてきた。もちろん司会者は承知済み。そのためかちょっと眉間に皺を寄せ、憐れんだ目で……。
 あなた方のサラリーマン人生、その命運はボスに握られてます。とにかく気に入られないと、未来はありませんよね。

 そこで本日は500年の時を超え、細川幽斎(ほそかわゆうさい)先生にお出まし頂きました。
 先生は日本史上最も文武両道に秀でた戦国武将であらせられまして、剣術は塚原卜伝に学ばれ、突進してきた牛を投げ倒されたこともあります。また古代からの秘伝、古今伝授の伝承者でもあります。

 さらに現代人の我々が最も驚愕することは、日本史上三傑の織田信長、豊臣秀吉、徳川家康が上司であり、この飛び切り個性あるビッグスリーに順繰り部下として勤められ、見事争乱の戦国の世を生き抜かれました。

 それでは幽斎先生の登壇です、盛大なる拍手でお迎えしましょう!

 えっ、信長、秀吉、家康がボスって? よくぞ殺されずに!
 会場がざわつく中、背丈六尺のイケメンサムライが颯爽と現れた。そしてキリリと立ち、張りのある声で……、

 拙者は幽斎と申す。皆の者は上役に気に入られる術を知らぬと聞いた。癇癪(かんしやく)持ちの信長殿、特段に色を好んだ秀吉殿、思い付きでは一切行動せぬ家康殿、それでも天下取りの夢を果たすため一所懸命生きられた。そんな親方様に仕えた経験から、凡俗の徒が人並みに出世し、一生を全うするためにはまず信頼を得ることが肝要。そのための『三つの心得、プラスワン』を伝授致そう。

 まず心得は
  一つ、己に大志があろうとも、上司の野望を超えてはならぬ
  二つ、上司の好まざることを、ゆめゆめ口にすべからず
  三つ、時に身命を賭して事に当たるべし

 されど、これらの継続は難しい。そこで心の拠り所『プラスワン』が必要なのじゃ。皆の者、わかり申したか?