小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

超短編小説  108物語集(継続中)

INDEX|574ページ/761ページ|

次のページ前のページ
 


 夜遅く戻った芹凛、まず百目鬼に報告する。
 圭と妻の蘭(らん)は3年前に離婚。理由は息子の死の悲しみを夫と共有できなかったことと、心を歪めた夫からのモラハラ。その後、心労で入水した。
 こんな不幸を突き付けられたのが蘭の実父の優一(ゆういち)。かって洋弓の選手だったとか。

 そして芹凛が言い切る。
「霧花圭殺人事件における『魔王』の『その後』のキャスティングは……、父が蘭の父親の優一で、子供は蘭自身、そして魔王が蘭を追い詰め、死に至らしめた圭。つまり優一が魔王の圭を射貫き、復讐を果たしました」

 この推理は百パーセント当たってるだろう。だが百目鬼は「ならば次の魔王役は誰だ?」と厳しく問う。ここは女刑事の意地だ、芹凛は頭を捻り……、
「次の父親役は圭の実父で、子供役は殺された圭、そして復讐されるであろう魔王は圭殺しの犯人の――優一となります。まさに魔王が次から次へと転じて行く形となります」
 こう主張し、身体を震わせる芹凛に、百目鬼は結論付ける。

「圭の息子、翼の死亡原因は多分落雷事故だっただろう。だがその死で圭は心を病み、森に棲む、空想の魔王に立ち向かおうとした。だがその過程で、妻の蘭を死に追い込んだ。結果、圭に対し、蘭の父の優一に復讐心が生まれ、圭の殺害を執行した。不幸なことだ。だが次は、圭の実父が蘭の父に気を狂わせる番だ。憎まれ役の魔王が人から人へと乗り移っていく。さっ芹凛、魔王殺しの連鎖を止めに行くぞ」

 こう指示を飛ばした百目鬼刑事、鬼の目をギョロッと剥いて、闇に向かって走り出したのだった。


・・・・・・・・・・・・・・・・

参考
この物語の中で、百目鬼が観ていた〈You Tube〉は次のURLです。
興味ある方は、どうぞ。

https://www.youtube.com/watch?v=zCNDBNQj868